2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H00977
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山口 孝男 筑波大学, 数理物質系(名誉教授), 名誉教授 (00182444)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永野 幸一 筑波大学, 数理物質系, 講師 (30333777)
本多 正平 東北大学, 理学研究科, 教授 (60574738)
三石 史人 福岡大学, 理学部, 助教 (80625616)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 局所CAT(1)空間 / 線織面 / 位相的特異点集合 |
Outline of Annual Research Achievements |
曲率が上に有界な距離空間は局所CAT(1)空間ともよばれ、幾何学的群論をはじめ、他分野にも広く関連する。そのような空間は局所構造が極めて複雑でこれまで2次元においてすら未解明のままであった。これまでの研究で、我々は曲率が上に有界な2次元距離空間の局所構造を決定した。これは曲率の上限の根源的な意味を理解する上でも、曲率が上に有界な距離空間の一般的な局所構造を(2次元ではあるものの)世界で初めて解明したという点でも意義深い。 今年度の本研究においては、局所構造の決定の鍵となるアレクサンドロフの線織面に関する古典的な結果の定式化の不明確さと、それに起因する証明の不備を埋めて、アレクサンドロフの仕事の一般化を得た。すなわち、線織面上の距離を定義領域上の pull-back距離として、準連続曲線(quasi-continuous curve)の概念を導入することにより明確に定め、更に線織面上の内部距離との関連を明らかにした。議論の重要な出発点は定義領域上のpull-back距離に関する最短測地線がリフトを持つことを示すことであり、アスコリ・アルツェラの定理のアイデアを取り入れることでこれを実行した。CAT(0)空間における線織面については、Petrunin-Stadlerによる結果があるが、本研究はより一般の局所CAT(1)空間における線織面に対する結果であり汎用性が高い。さらに局所的に構成される有限個の線織面の任意の和集合が内部距離に関してCAT(1)空間であることを示した。この結果は、他の局所構造の記述においても有用である。証明は、多面体による空間近似を構成し、そのGromov-Hausdorff極限をとることによりなされるが、その過程で位相的特異点集合の(一般化された)グラフ構造と距離構造に基づく深い幾何解析を展開することが必要であった。(永野幸一氏と塩谷隆氏との共同研究)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
局所CAT(1)空間については多くの補完的な研究が必要であり、その意味で順調に成果が得られつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
2次元局所CAT(1)空間の構造定理の大域版の論文完成を最優先として目指す。一方で、アレクサンドロフ空間のリプシッツ・ホモトピー収束の定量版の研究に着手する。
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Research Products
(12 results)