2021 Fiscal Year Annual Research Report
Random Matrix Theory: Free Probability Theory and beyond
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21H00987
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | free probability / random matrices / operator norm |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題ではランダム行列理論における行列モーメントの計算手法や自由確率解析を, 作用素ノルムの計算へ応用する方向で深めていくことを目指している. 特に作用素ノルムの研究は多くの問題に関わっている. ランダム行列のサイズ極限を取ったときにその作用素ノルムの極限と行列のスペクトル分布(経験固有値分布)の極限分布の台の上限が一致するかという問題は非常に大きな関心を持たれ、また統計学や機械学習などへの応用も多い。 ランダム行列のサイズ極限を考えた際のその極限分布の台の上限からはみ出てしまっている少数の固有値をアウトライヤーと呼び、その中にはその行列の多くの情報が含まれている。この現象はBaik, Ben-Arous, Pecheらにより考察され今日BBP相転移と呼ばれ様々な設定で研究が行われている。この研究では佐久間, Leidとの共同研究により以前の研究成果Collins, Hasebe, Sakuma(2018)で発見したアウトライヤーの位置を特定するのに非常に有用な「巡回単調独立」を実現する行列モデルを構成することに成功した。巡回単調独立は、非可換独立の代数的概念で、ランクが小さい行列による摂動があるランダム行列モデルの研究に導入された。非可換確率論的な見方は多くのランダム行列を統一的に扱うことができ、その適用範囲が非常に広い。巡回単調独立の代数的形式は驚くほど単調独立に似ていたため単調独立性との関連が気になっていた。本研究課題で見つけた行列モデルはその操作を変えると単調独立性が現れるようなモデルになっており、その関連性を探る手立てとして有用だと考えられる。また代数的な計算も非常に簡便なモデルとなっている。この結果を論文として、まとめ投稿し、その後改良やより精密な問題の考察をしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で多くの研究集会や国際会議などのイベントや研究者の招聘、特に海外に関連するようなものがキャンセルされた。しかし、コロナによる影響を最大限に回避すべく、代替案を考えたり、オンラインを活用することにより、研究が滞ることないよう進めることができた。実際、2022年には有限自由確率論の萌芽に深く関わったNikhil Srivastava氏がサバティカルで京都大学に長期(四ヶ月弱)滞在してくれた。氏と本研究課題に関わる多くの議論をすることができた。また氏の来訪で共同研究者の佐久間紀佳、長谷部高広、植田優基などが京都大学に来訪し、国際研究集会の開催することができた。研究会では本研究課題に関連する幅広い講演を集めることができた。特に、対面による情報収集と意見交換ができ、コロナで多少遅れていた部分をかなり改善することができた。またワイオミング大学の自由確率論に関するサマースクールでこれまで研究してきたワインガルテン解析の集中講義を行った。また、国際数学者会議の対面開催自体はキャンセルされたものの、招待講演の代替イベントでこれまでの研究成果をアピールする2回の講演ができた。これらに合わせて、研究代表者によるこれまでのワインガルテン解析についての研究成果のサーベイを執筆し、研究成果を整理した。また1月にVoiculescu氏が京都大学を3週間来訪したことに合わせて多くの研究者を京都大学へ招待し、活発な意見交換を行った。これらにより当初予定していたが不可能になってしまった情報収集や研究打ち合わせを代替して進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響はかなり小さくなり、海外ではほとんど平常通りに研究会が開催され、日本でも対面研究集会が増えてきている。対面による議論や意見交換は研究上欠かせないものであるので、積極的に海外の研究研究者を訪問したり研究会を開催していきたい。実際、2023年6月には京都大学の数理解析研究所で「RIMS Research Project 2023: Stochastic Processes and Related Fields」の一環のイベントとして本研究課題に非常に深く関わる「Random Matrices and Applications」という国際会議を開く。この研究集会には25人程度の招待講演者を招聘し、ポスター発表も合わせると40程度の発表がなされる。そこで一気に最近のランダム行列の最新の研究情報を収集し、研究を再加速する。また2023年度Charles Bordenave氏が前期の間7月まで滞在しているため氏と進めている作用素値非バックトラッキング法の研究をより深め、本研究課題目標である様々なランダム行列で強漸近的自由性を示すこと、それを作用素環やランダム行列の問題へ応用すること、 surface group上の一様測度による積分の計算方法の確立をすること、 Hayes予想に関連する研究をより深めていく。また秋には統計数理研究所でランダム行列のイベントを開催し量子情報理論などの共同研究を行ってきたPing Zhongらと議論を行う。可能であればフィールズ研究所の自由確率論のイベントなどにも参加し、研究成果のアピールと情報収集を行いより研究をシャープなものにしていく。
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[Journal Article] The Weingarten calculus2022
Author(s)
Collins, Benoit and Matsumoto, Sho and Novak, Jonathan
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Journal Title
Notices of the American Mathematical Society
Volume: 69
Pages: 734--745
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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