2022 Fiscal Year Annual Research Report
Random Matrix Theory: Free Probability Theory and beyond
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21H00987
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | free probability / random permutations |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題ではランダム行列理論における行列モーメントの計算手法や自由確率解析を, 作用素ノルムの計算へ応用する方向で深めていくことを目指している. 特に作用素ノルムの研究は多くの問題に関わっている. ランダム行列のサイズ極限を取ったときにその作用素ノルムの極限と行列のスペクトル分布(経験固有値分布)の極限分布の台の上限が一致するかという問題は非常に大きな関心を持たれ、また統計学や機械学習などへの応用も多い。 2022年度部分の研究としてCharles Bordenave氏と次の成果を挙げた: ユニタリー群、直交群、対称群に一様に分布する複数の独立なN次元ランダムユニタリー行列の非可換多項式でその係数がN次元行列であるものを考える。このランダムな非可換多項式の作用素ノルムを研究した。ランダムなユニタリー行列を自由群フォン・ノイマン環のユニタリ生成元に置き換えた場合の対応と比較した。 これによる一つ目の重要な結果はこの比較において今までにない強力な評価を得て、その系として、Peterson-Thom予想の新しい証明を与えることに成功した。 第二の結果は、任意のC*代数に係数を持つ独立なN次元ランダムユニタリ行列と置換行列の多項式の作用素ノルムに対する普遍的な定量的下界を与えたことである。置換行列に対するこの結果の変形は、Alon-Boppanaの下界を2つの方向で一般化した。一つ目に、線形多項式だけでなく、任意の多項式に適用可能にした。二つ目に、非負の実数だけでなく、非負の結合モーメントを持つ任意のC*-algebraの係数に適用可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で多くの研究集会や国際会議などのイベントや研究者の招聘、特に海外に関連するようなものがキャンセルされた。しかし、コロナによる影響を最大限に回避すべく、代替案を考えたり、オンラインを活用することにより、研究が滞ることないよう進めることができた。実際、2023年2月から作用素値非バックトラッキング法の共同研究を長年代表者と行っているCharles Bordenave氏が京都大学に長期(5ヶ月)滞在してくれている。氏と本研究課題の根幹部分である作用素値非バックトラッキング法について多くの議論をし、かなり広いクラスの行列モデルに対してその適用を進めることができる見通しがたった。そのことをまとめている(これは次年度である2023年度の4月に「Norm of matrix-valued polynomials in random unitaries and permutations」としてアーカイブに投稿した(arXiv:2304.05714))。また、氏の来訪時期に共同研究者の佐久間紀佳やランダムテンソルの専門家のLuca Lionni氏, 量子群と自由確率論の専門家Moritz Weber氏らが京都大学に来訪し、幅広い観点から議論を進めている。また2022年10月末にはドイツ・ザールランド大学に出張し、ザールランド大学で大規模に行われている研究プログラムに参加、2023年1月にはタイで行われたランダムテンソルについての研究会に参加し、情報収集を行なった。これらにより当初予定していたが不可能になってしまった情報収集や研究打ち合わせを代替して進めている。特に、対面による情報収集と意見交換ができ、コロナで多少遅れていた部分をかなり改善することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響はかなり小さくなり、海外ではほとんど平常通りに研究会が開催され、日本でも対面研究集会が増えてきている。対面による議論や意見交換は研究上欠かせないものであるので、積極的に海外の研究研究者を訪問したり研究会を開催していきたい。実際、2023年6月には京都大学の数理解析研究所で「RIMS Research Project 2023: Stochastic Processes and Related Fields」の一環のイベントとして本研究課題に非常に深く関わる「Random Matrices and Applications」という国際会議を開く。この研究集会には25人程度の招待講演者を招聘し、ポスター発表も合わせると40程度の発表がなされる。そこで一気に最近のランダム行列の最新の研究情報を収集し、研究を再加速する。また2023年度Charles Bordenave氏が前期の間7月まで滞在しているため氏と進めている作用素値非バックトラッキング法の研究をより深め、本研究課題目標である様々なランダム行列で強漸近的自由性を示すこと、それを作用素環やランダム行列の問題へ応用すること、 surface group上の一様測度による積分の計算方法の確立をすること、 Hayes予想に関連する研究をより深めていく。また秋には統計数理研究所でランダム行列のイベントを開催し量子情報理論などの共同研究を行ってきたPing Zhongらと議論を行う。可能であればフィールズ研究所の自由確率論のイベントなどにも参加し、研究成果のアピールと情報収集を行いより研究をシャープなものにしていく。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] The Weingarten calculus2022
Author(s)
Collins, Benoit and Matsumoto, Sho and Novak, Jonathan
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Journal Title
Notices of the American Mathematical Society
Volume: 69
Pages: 734--745
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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