2021 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis on singularities of higher order geometric gradient flows
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21H00990
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡部 真也 東北大学, 理学研究科, 准教授 (70435973)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 達哉 東京工業大学, 理学院, 准教授 (40838744)
可香谷 隆 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 助教 (60814431)
剱持 智哉 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80824664)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 幾何学的発展方程式 / 特異形状解析 / 変分法 / 偏微分方程式論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は種々のSobolev勾配流の時間大域可解性およびその漸近挙動、ならびにその収束先となる定常解構造を調べることに繋がる、種々の変分問題について研究を実施した。Sobolev勾配流の研究については、H2弾性流、束縛条件付きH2弾性流、knot汎函数と弾性エネルギーの和に対するH2勾配流、面積保存型H1曲線短縮流など、複数の問題について議論を開始し並行して研究を実施した。ここで、H2弾性流とは、曲率の二乗積分で与えられる弾性エネルギーに対する、Hilbert空間H2の意味での勾配流のことである。H2弾性流については、時間大域可解性を証明するとともに、elasticaとよばれる平衡状態への完全収束を証明することに成功した。特に、ここで示した完全収束においては各時刻における径数変換や曲線の位置ベクトルの平行移動といった補助を必要としない。これはH2弾性流における解析の中で使用する空間の完備性が大きく寄与した結果であり、本結果は、汎函数に適合した空間の意味で勾配流を構成することの利点を明示することに成功したと言える。この結果は論文として纏め、現在、学術誌に投稿中である。また、その他の研究課題についても研究を進めているところである。加えて、Gross-Pitaevskii固有値問題の解に完全収束するSobolev勾配流の構成や、曲線拡散流に対する移動境界問題などについても研究に向けた議論を開始した。一方、変分問題に関する研究については、関連する問題として、外力項付きの平均場方程式に対する分岐解析を実施した。非線形項が指数型非線形項も含む設定のもとで、問題の解の存在に関して分岐パラメータの閾値が存在することを証明した。現在は分岐パラメータがその閾値の場合に、実際に解が分岐することについて研究に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍が完全には収束しない中で、対面実施の研究集会への参加や対面による研究討論などの機会を十分に担保できないといったことが研究の進捗に少なからず影響を与えたことは否定できない。しかしながら、web ツールを活用した研究討論などで補うことによって一定の研究成果を得ることができた。実際、H2弾性流、束縛条件付きH2弾性流、knotエネルギーと弾性エネルギーの和に対するH2勾配流、面積保存型H1曲線短縮流は web ツールを活用した国際共同研究として実施している。加えて、Gross-Pitaevskii固有値問題に関連するSobolev勾配流や曲線拡散流に対する移動境界問題といった新しい研究課題への取り組みも開始できたことから、研究開始初年度としてはおおむね順調に進展していると判断した次第である。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍が完全に収束し対面による研究集会や研究討論が実施できる状況となった場合には、研究集会に参加することによって最新の研究動向の調査およびそれに関わる研究討論を実施する、国際共同研究も含めて、共同研究者を招聘または訪問することで対面による研究討論を実施する、といった機会を増やし現在取り組んでいる複数の研究課題を並行して推進する。コロナ禍が完全に収束せずそれが制限されるといった場合には初年度の経験を活かして、web ツールなどを活用することによってその不足分を可能な限り補うこととする。いずれにしても、研究計画にそって研究を推進するとともに、新しい研究課題を適宜追加することで、多角的かつ効率的に研究を実施する。
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Research Products
(7 results)