2021 Fiscal Year Annual Research Report
ジャンプを含む確率過程の複雑な観測データに対する統計解析と新しい学習理論への応用
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21H00997
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荻原 哲平 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (40746426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 泰隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70423085)
深澤 正彰 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (70506451)
上原 悠槙 関西大学, システム理工学部, 助教 (00822545)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ジャンプ型拡散過程 / 最尤型推定量 / 漸近正規性 / 非同期観測モデル / 推定量の最適性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な研究成果として以下が挙げられる。 1.ジャンプ型拡散過程モデルに対して推定量の最適性を議論するための局所漸近正規性を示すため、Jeganathan (Sankhya 1982)において研究されている局所漸近正規性が成立するための十分条件を発展させ、ジャンプ型拡散過程モデルを扱える手法へと拡張した。 この手法とShimizu and Yoshida (SISP 2006), Ogihara and Yoshida (SISP 2011)において研究されているジャンプ部分と連続部分を分離する技術をあわせて、ジャンプ型拡散過程モデルの局所漸近正規性を示した。この成果は論文にまとめ、投稿中である。 2.ジャンプ型拡散過程の非同期観測モデルに対する最尤型推定量の性質を調べるため、まずはエルゴード型拡散過程モデルの最尤型推定量の漸近正規性の結果を示した。このモデルに対しては推定量の最適性を示すための局所漸近正規性の結果が成立することも期待され,さらに推定量の最適な漸近分散がジャンプ型拡散過程モデルの場合と同じになると期待されることからこれを示すことを目指していく。また、シンプルなジャンプ拡散の非同期モデルにおいても最尤型推定量の漸近正規性を確認した。 3. 拡散過程モデルにおいて拡散係数が未知の場合に観測から近似してドリフト項のパラメータを推定する手法を開発した。この推定手法は拡散過程のドリフト構造だけわかっているようなモデルにおける推定を可能にする。 4. 保険分野への応用として、死亡率予測に関して拡散過程のhitting time distribution を活用した全く新しい予測モデルを開発した他、クレーム件数とクレームの間に長期記憶的な相関がある場合の極限モデルとして現れるフラクショナルブラウン運動で駆動される確率微分方程式の統計推測の成果を出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の計画では、ジャンプ型拡散過程モデルに対して情報量規準を構築し、それが一致性等の良い性質を満たすかどうかを分析する予定であったが、この点は当初想定したより進んでいない。一方で、エルゴード型拡散過程の非同期観測モデルに対する最尤型推定量の分析が進展し、最尤型推定量の漸近正規性の結果が得られた他、当初想定していなかった推定量の最適性を示す見込みも得られた。また、拡散係数が未知の場合の拡散過程モデルの分析も予定より進展していて理論面で目指していた最尤型推定量の漸近正規性の結果が得られた他、数値シミュレーションにおいても良い成果を出すことを確認できた。これらについて引き続き分析を進め、論文投稿へと進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続いて、エルゴード型拡散過程モデルに対する研究を続け、局所漸近正規性等の推定量の最適性に関する性質が成り立つことを確認していく。また、ジャンプ型拡散過程の非同期観測モデルに対しても研究を進め、最尤型推定量の漸近正規性や推定量の最適性も研究したい。さらに、拡散係数が未知の場合の拡散過程モデルの分析について今年度得られた結果を論文にまとめて投稿を目指していく。 レヴィ過程の非同期・ノイズ付観測モデルに対する推定量の開発も進めていき、広いレヴィ過程のクラスで適用可能な推定量の構築と漸近的性質の研究を行っていく。 保険分野や株式市場における分析などの応用研究も引き続き進めていく。
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Research Products
(11 results)