2022 Fiscal Year Annual Research Report
ジャンプを含む確率過程の複雑な観測データに対する統計解析と新しい学習理論への応用
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21H00997
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荻原 哲平 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (40746426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上原 悠槙 関西大学, システム理工学部, 助教 (00822545)
清水 泰隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70423085)
深澤 正彰 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (70506451)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ジャンプ型拡散過程 / 最尤型推定量 / 漸近正規性 / 局所漸近正規性 / 非同期観測モデル / 推定量の最適性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な研究成果として以下が挙げられる。 1.昨年度論文投稿を行った、ジャンプ型拡散過程モデルの局所漸近正規性の結果と、Shimizu and Yoshida (SISP 2006), Ogihara and Yoshida (SISP 2011)における最尤型・ベイズ型推定量の漸近的最適性の研究において、査読結果に基づく論文改訂を行い、国際雑誌Bernoulliに採択された。 2.Ogihara (Bernoulli 2015)の固定観測区間における拡散過程の非同期観測モデルの局所漸近混合正規性の理論を応用することにより、エルゴード型拡散過程の非同期観測モデルにおいて、統計モデルの局所漸近正規性の結果を示した。これと昨年度示した最尤型推定量の漸近正規性の結果とあわせて、最尤型推定量が漸近的に最適な推定量となるという結果を得た。この成果はジャンプ型拡散過程の非同期観測モデルを扱う上でも活用できると期待される。 3.ジャンプ型拡散過程の非同期観測モデルにおいて、ジャンプ部分と連続部分を分離する技術を用いて、時間に比例するドリフト項、ブラウン運動で駆動される拡散項、ジャンプ項それぞれのパラメータに対する最尤型推定量の一致性・漸近正規性といった、漸近理論における望ましい性質を示した。連続部分を扱うために、エルゴード型拡散過程の非同期観測モデルの漸近理論の結果を応用して必要な漸近的性質を得ることができた。 4.保険分野への応用として、ジャンプ型の保険サープラスモデルを考える際、クレームとその頻度に相関のあるマーク付き複合点過程のある種の極限にフラクショナル・ブラウン運動(fBm)が現れることから、ドリフト付きのfBmによる破産確率の表現をマリアヴァン解析を援用して導出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度計画における、ジャンプ型拡散過程の非同期モデルに対する最尤型推定量の一致性・漸近正規性の研究は当初想定した通り、係数を時間に依存させたモデルに結果を拡張することができた。また、ジャンプのないエルゴード型拡散過程の非同期観測モデルにおける局所漸近正規性は想定以上に進み、昨年度の最尤型推定量の漸近理論の成果とあわせて論文採択まで進めることができた。一方で、モデル選択のための情報量規準の研究は想定したような進捗は得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続いて、ジャンプ型拡散過程の非同期観測モデルに対する研究を行う。数値実験において、拡散過程の係数が一定の場合と時間に依存する場合のそれぞれにおいて、提案推定量のパラメータ推定精度の検証と改善を検討する。また、ジャンプ型拡散過程の非同期観測モデルにおける統計モデルの局所漸近正規性を調べ、提案推定量の漸近分散の最適性に関する理論構築を行うことで、提案推定量が優れていることを確認していく。 拡散過程モデルにおける無限次元パラメータの場合の局所漸近正規性と最適分散をもつ推定量の研究を引き続き進めていく。 また、レヴィ過程モデルの非同期観測モデルに対する推定量の漸近的性質も調べていく。レヴィ過程モデルはジャンプを含む確率過程としてジャンプ型拡散過程と類似の性質をもつが、ジャンプ型拡散過程と異なり、ジャンプを判別する閾値を用いてジャンプ部分と連続部分のデータに分けて最尤型推定量を構築するアプローチが機能せず、より推定量の構築と解析が困難である。本研究では、疑似ガウス型対数尤度関数を用いて推定量を構築し、その漸近的性質、特に一致性や漸近正規性を調べていく。 保険分野や株式市場における分析などの応用研究も引き続き進めていく。
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Research Products
(23 results)