2021 Fiscal Year Annual Research Report
精度保証付き数値計算の前進---有限と無限をつなぐもの---
Project/Area Number |
21H01000
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡部 善隆 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (90243972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 卓也 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (00163832)
小林 健太 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (60432902)
木下 武彦 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (30546429)
宮路 智行 京都大学, 理学研究科, 准教授 (20613342)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 精度保証付き数値計算 / 計算機援用証明 / 射影誤差評価 / 線形作用素の可逆性 / 非線形偏微分方程式 / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
・2階楕円型線形作用素の可逆性の理論的な保証と数学的に厳密な意味での逆作用素ノルムの上界を精度保証付き数値計算によって求める研究に取り組んだ。楕円型作用素を理論的・数値的な知見が得られている2階微分作用素項と1階微分以下の摂動項に分離し、摂動項に対応する作用素と有限次元部分空間の基底との内積で構成される行列を用いることにより、可逆性の検証および逆作用素の上界の評価が既存の手法に比較して大幅に改良されることを理論面・応用面から明らかにした。また、この理論と技術が一般のHilbert空間における線形作用素に拡張可能なことを明らかにし、非線形偏微分方程式の線形化から導かれる具体的な問題に対してその有効性を明らかにするとともに、学術論文として投稿した。 ・2階楕円型線形作用素の可逆性と収束性に対する理論的な検討を行い、自然な仮定と離散近似の下で、線形作用素の逆作用素のGalerkin近似が真の逆作用素にノルム収束することを証明した。これらの成果を2021年度に開催された2つの国際会議において報告し、学術論文として投稿した。 ・3次元トーラス型領域に特別な境界条件と外力項を付加した Navier-Stokesの定常問題(Kolmogorov問題)においては、領域の形状と流体の粘性係数に応じて様々な非自明解が生じることが数値的に知られている。コンピュータによりKolmogorov問題の解の存在を数学的に厳密な誤差評価付きで検証するためには、無限次元空間における最大値ノルムの高精度かつ効率的な評価が不可欠である。周期境界条件の下で問題を多次元Fourier級数展開して得られた無限次元空間において、最大値ノルム評価が極めて最適値に近い値で評価可能であることを示すとともに、これらの評価を用いて対称性破壊分岐点の存在検証に世界で初めて成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究分担者および海外共同研究者との連携の結果、研究計画に沿った形で順調に進展していると判断します。コロナ禍により海外共同研究者の招聘が叶わなかったものの、可能な限りの代替手段を用いて意思疎通を図りました。
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Strategy for Future Research Activity |
それぞれの研究において得られた成果を踏まえ、更なる手法の改良と応用・展開に向けての見通しを立てることができました。また研究を遂行する上での課題の洗い出しも一部対面での研究打合せによって行うことができました。その成果を踏まえて更なる研究課題の推進を行いたいと考えています。
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Research Products
(13 results)