2021 Fiscal Year Annual Research Report
Non-Hermitian quantum spin-photon coupled system
Project/Area Number |
21H01009
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
野村 晋太郎 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90271527)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 由紀 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00456261)
柏谷 聡 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (40356770)
渡邊 幸志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (50392684)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 非エルミート / ダイヤモンドNVセンター / 量子計測 / マイクロ波共振器 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)ダイヤモンドNVセンター構造を設計、作製、基礎的特性の測定を実施した。12C同位体に純化した原料ガスを用いた15Nドープ高純度CVD試料を産業技術総合研究所内の施設で成長し、本研究課題の実施に適した設計のダイヤモンドアンサンブルNVセンター試料を作製した。ダイヤモンド表面処理条件を変えて複数の試料を作製し、最適条件を探った。得られた試料について、光検出磁気共鳴スペクトル(ODMR)、ラムゼーフリンジの測定により評価を行い、ODMR線幅 0.5 MHz, アンサンブルスピンコヒーレンス時間T2* = 2-3 μsを得ることに成功した。 2)非エルミートなハミルトニアンによって記述される量子系のためのマイクロ波共振器構造を設計、製作した。新たに設計したマイクロ波共振器構造をフォトリソグラフィーにて描画した後に、名古屋大学内の施設で成膜し、Nb/Auマイクロ波共振器構造を作製した。その基礎的評価を室温および低温下でベクトルネットワークアナライザを用いて実施した。 3)非エルミートなハミルトニアンによって記述される量子系の制御と観測のために、ヘリウムクライオスタット中に顕微分光系を構築し、マイクロ波ケーブルを導入した。バイアス磁場を印加するためのヘルムホルツコイルを設計・製作し、クライオスタット内に実装した。この新たに構築した測定システムを用いて、ダイヤモンドNVセンターからの発光をイメージとして取得し、磁場中低温環境下でODMRスペクトル等の基礎的特性を測定し評価した。加えて、シリコン基板上の金属細線まわりのマイクロ波ノイズの分布を測定し、マイクロ波ノイズが場所に大きく依存することを見出すことに成功した。1) -3)について得られた結果は研究分担者の川口他と共有し、議論を行い、理論的検討を加えた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
12C同位体に純化した原料ガスを用い、ダイヤモンド表面処理条件を変えて最適条件を探ることにより、ODMR線幅 0.5 MHz, アンサンブルスピンコヒーレンス時間T2* = 2-3 μsのアンサンブルNVセンター試料を得ることに成功し、従来用いられてきた窒素イオン注入試料と比較して、格段の特性の向上を得ることに成功した。当初計画通り、Nb/Auマイクロ波共振器構造を作製し、その基礎的特性の評価を行うことに成功した。今年度新たに、ヘリウムクライオスタット中に量子系の制御と観測のための顕微分光系を構築、マイクロ波パルスと外部制御可能な静磁場を量子系に印加するシステムを構築することにこぎつけた。実際に、基礎的な評価を行い、磁場に応じた準位のシフトをODMRスペクトルから観測することに成功した。さらに、当初計画にはなかったが、シリコン基板上の金属細線まわりのマイクロ波ノイズの分布を測定し、その分布を世界に先駆けて得ることに成功した。その結果、量子系の制御のための知見を得ることができた。関連して論文を2報公表し、特許を1件出願した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度に構築された低温光検出磁気共鳴量子系測定システムを用いて、非エルミートなハミルトニアンによって記述される量子系に関する研究を推進する。具体的には、(1) 研究分担者の渡邊が設計、作製した12C同位体に純化した原料ガスを用い高純度CVD成長ダイヤモンドNVセンター試料を用いて研究を進める。昨年度、作製したもの及び新たに設計、作製する高純度CVD成長ダイヤモンドNVセンター試料を用いる。(2) 非エルミートなハミルトニアンによって記述される量子系のためのマイクロ波共振器の設計と製作を研究分担者の柏谷が引き続き進める。(3) 低温クライオスタットにマイクロ波ケーブルを導入、量子系にマイクロ波印加を可能とし、ダイヤモンドNVセンターからの発光の取得を可能とした低温光検出磁気共鳴測定システムを用いて、ダイヤモンドNVセンター、マイクロ波共振器結合系の研究を進める。(5) 以上の測定により得られた データは研究分担者の川口が理論的解析を行う。
|
Research Products
(9 results)