2023 Fiscal Year Annual Research Report
新奇量子凝縮相の探索的研究と特性解明：フラクタル超伝導とエキシトン絶縁体への挑戦
| Project/Area Number |
21H01028
|
|---|
| Allocation Type | Single-year Grants |
|---|
| Research Institution | Aichi Institute of Technology |
|---|
Principal Investigator |
佐藤 憲昭 愛知工業大学, 工学部, 教授 (30170773)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 敬一郎 名古屋大学, 教養教育院, 講師 (10444374)
壁谷 典幸 東北大学, 理学研究科, 助教 (70633642)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
| Keywords | ボース凝縮 / エキシトン絶縁体 / フラクタル超伝導 / 準結晶 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の対象物質は、エキシトン絶縁体の候補物質であるblack-SmSと、準結晶で最初に発見された超伝導体であるAl-Zn-Mg合金である。それらに対し、種々の物性計測を極低温下で行い、以下の成果を得た。
（１）本研究課題開始以前に、black-SmSが低温で奇妙な電気抵抗異常を示すことを見出していたが、その異常が何に起因するものなのかは全く不明であった。特に、それがエキシトン凝縮と関係があるかも未解明であった。そこで、この低温異常の正体を明らかにすべく、電流を流さない状態で電圧の温度依存性を測定した。その結果、この低温異常には（電流が流れていないにも関わらず）電圧の発生が伴うことが明らかとなった。このことより、この低温異常の起源は、電気双極子の空間秩序であり、空間対称性の破れを伴う相転移であると考えられる。この成果は、ごく最近明らかにされたエキシトン凝縮に関する理論と整合することも明らかとなった。
（２）フラクタル超伝導体Al-Zn-Mgの超伝導は、常圧における比熱や上部臨界磁場の温度依存性を見る限り、周期結晶で発現する弱結合超伝導（BCS超伝導）で理解可能であると考えられる。BCS超伝導とは異なる振る舞いが存在するかを調べるため、超伝導転移温度の圧力依存性を測定した。その結果、準結晶超伝導転移温度は、1/1および2/1近似結晶と同様の圧力効果を示すことが明らかとなった。このことは、圧力依存性にも準周期性が絡んでいないことを示す。ただし、圧力依存性の大きさには、1/1近似結晶と準結晶との間に（定量的）相違があることが見いだされた。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エキシトン絶縁体の候補物質であるblack-SmSに対しては、予想した通り、エキシトン凝縮が発現していることが明らかになりつつある。フラクタル超伝導に対しても1/1近似結晶との定量的相違点を見出すことができた。一方、定量的相違点を見出すには至っておらず、今後の課題として残されている。
|
| Strategy for Future Research Activity |
black-SmSに対しては上記成果を論文としてまとめる予定である。これにより、所期の目的が達成されるであろう。フラクタル超伝導に関しても成果を論文としてまとめるが、近似結晶と準結晶に定性的相違点がないか、引き続き探索する。
|
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] Type-II反強磁性体GdBiの表面Dirac電子状態：マイクロARPES2024
Author(s)
本間飛鳥, 壁谷典幸, 相馬清吾, 山内邦彦, 高根大地, Yongjiang Wang, 中山耕輔, 小澤健一, 小口多美夫, 高橋隆, 木村憲彰, 安藤陽 一, 佐藤宇史
Organizer
日本物理学会 2024年春季大会
-
-
-
-
-
[Presentation] Ln3M4Mg12(Ln = La, Ce, Nd, Sm, Gd; M = Ag, Au)の単結晶育成2023
Author(s)
山本海斗, 壁谷典幸, 見上竜, 中村慎太郎, 荒木幸治, 加藤健一, 木村憲彰, 落合明
Organizer
日本物理学会 第78回年次大会
-
-
-
-
-
