2023 Fiscal Year Annual Research Report
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21H01031
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
服部 一匡 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (30456199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 有起 富山県立大学, 工学部, 准教授 (70634343)
石飛 尊之 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 博士研究員 (50982831)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 四極子秩序 |
Outline of Annual Research Achievements |
対称性の破れ,特に本課題では数ある多極子自由度の中でも四極子による秩序に焦点をあてて,特徴的な構造をもつ新規状態の解析や,未知の秩序変数の解明,その秩序相内における交差応答などを解析することが目標である.2023年度の研究概要として,(1)四極子秩序を示すCeCoSiについての第一原理計算に基づく多極子間RKKY相互作用の解析,(2)非整合波数の3重q四極子秩序を示すミニマル模型の古典モンテカルロ解析,(3)Pr系1-2-20系化合物における温度磁場相図のランダウ理論による解析,(4)URhSnの未知の非磁性秩序についてのカイラル四極子秩序の提案,(5)ダブルペロブスカイト化合物Ba2MgReO6における誘起強四極子モーメントの電子的機構の提案および有効磁気モーメントの発現機構の解析,(6)局所空間反転対称性のない系における非共面磁気秩序とボンド四極子の発現などが挙げられる.その他にも三角格子上の双極子ー四極子のハイブリッド秩序の解析や,種々の交差相関や輸送係数についての解析を行なっている.2023年12月には,本科研費が主催する若手理論研究者向けの研究会を3日間にわたって開催した.あいにくの大雪に見舞われたが,少人数の研究会の利点を活かし,13名の参加者には1時間程度の持ち時間で普段聞けない研究の詳細についても紹介してもらうことができた.参加者の間で濃密な議論を行うことができ,貴重な時間を共有できたと感じており本計画研究へのフィードバックも今後期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に述べた(1)~(6)の研究課題について以下にまとめる. (1)出版済み.CeCoSiにおける非磁性相転移の秩序変数の解明のため,第一原理計算から見積もられるバンド構造を基礎としてRPA近似を用いてCe-Ce間のRKKY相互作用の計算を行った.最も発達する揺らぎはq=0の電気単極子および十六極子であり,非磁性の自由度の重要性が確認できた.一方,実験で示唆されている強四極子については,今後の研究が必要となる. (3)研究途中.観測されている高温中間磁場相について,Eg四極子に関するランダウ理論をを解析した.当初,4重q秩序を念頭に研究が開始されたが,現在のところ完全に解析できているのは1重qのみを含む相図のみである.零磁場においては4重qも同じ自由エネルギーであり,さらなる解析が必要である. (5)出版済み.当該物質で議論されている強四極子モーメントの発現機構について格子変位の寄与ではなく純粋に電子的な機構を指摘した.また,有効J=3/2系における磁気モーメントの大きさについて解析した. (6)論文作成中.有限波数qをもつ反強秩序に注目し、様々な秩序変数の二次形式を対称性の観点から整理した。特に,有限波数秩序によってボンド秩序が誘起されること、結晶構造によっては非共面磁気秩序が実現しやすいことを明らかにした. (2,4)投稿予定.これらの研究課題も継続的に解析を続けており,2023年度の成果を2024年度に論文にまとめて投稿できる段階まできており,現在論文を執筆中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進め方について以下にまとめる. 進捗状況に記載されているように,課題(2,3,4,6)については,引き続き作業と解析をすすめ,可能な限り早い段階で論文出版することを目標とする.(2)に関しては,数年来の解析を行なっているが,何度か大きな進展があり,早急な論文投稿を行わなかったことが結果的に好転しているといえる.そのほかの課題についても,鋭意慎重な結果の吟味を忘れず解析を行う必要があると思われる.(2)については今後常時大きな数値計算が必要ではないため,計算機資源をその他の課題に回すことが可能になる.(2)の拡張としての多極子版のスキルミオン格子模型のモンテカルロ解析や,(3)の模型の大規模計算により4重q秩序の可能性を探ることも一つの方向性である.(3)については測定を行っている実験グループ(中央大,広島大)とも密接に連携をとりながら理論解析を行なっていく.これら継続課題と共に予備的な課題として,(1)(6)などの知見を生かし,新たな対象系についても解析が可能かも吟味する.例えば,最近発見された局所反転対称性を有さない超伝導体CeRh2As2では,現在も超伝導発現機構や四極子の密度波と解釈されることもある未知の秩序状態など未解明な問題が多く存在している.このような問題に対しても代表者と分担者の間で活発に議論を交わし解析を進めていく.
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Research Products
(34 results)
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[Presentation] CeMnSi の磁場誘起相転移 II2024
Author(s)
谷田博司, 松岡紘人, 川村幸裕, 比嘉野乃花, 松村武, 三本啓輔, 柳有起, 山田武見, 室裕司, 福原忠, 並木孝洋, 桑井智彦
Organizer
日本物理学会 2024年春季大会
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