2021 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding of the explosion mechanism and the final stage of massive stars via observations of gravitational waves from supernova explosion with rotation
Project/Area Number |
21H01088
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
祖谷 元 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (70386720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝脇 知也 国立天文台, 天文シミュレーションプロジェクト, 准教授 (50507837)
富樫 甫 東北大学, 理学研究科, 助教 (70733939)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 宇宙物理 / 重力波 / 超新星爆発 / 状態方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
重い星の最期である超新星爆発の後に生まれる原始中性子星はニュートリノを放出しながら徐々に冷える。このような中性子星の冷却曲線は観測から徐々に制限がされつつあるが、理論計算によると冷却曲線は中性子星の質量や状態方程式に対する依存性が小さいことが示唆されている。つまり、冷却曲線の観測から、中性子星の質量や状態方程式への制限は難しいということになる。これに対して、我々はこのような冷却中性子星における星震学を行った結果、放出重力波の基本振動数にその時刻における中性子星の質量をかけた量は、各時刻における中性子星のコンパクト度(質量と半径の比)で記述でき、質量や状態方程式に依存しないことを示した。同様に、星内部の温度勾配に起因する重力モードの振動数は星のコンパクト度にで特徴づけられることも示した。つまり、冷却中性子星からの複数の重力波の振動数を同時観測することで、その時刻における星の質量と半径の制限ができるかもしれない。 さらに、超新星爆発に伴う重力波(超新星重力波)は親星の質量や状態方程式に強く依存することが知られているが、我々は、超新星モデルに依存しない、超新星重力波の振動数に対する経験則の導出にも成功した。この経験則を用いることで、将来、超新星重力波が観測された暁には、重力波の時間進化から対応する原始中性子星の平均密度の時間発展がわかることになる。この情報は、高密度領域における状態方程式に強い制限を課すことができると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超新星重力波の背後の物理を知るために、我々は超新星爆発後に生まれる原始中性子星における振動解析を行なっている。これまで、放出重力波シグナルは、超新星モデルに強く依存することが知られていたが、モデルによる不定性のため、仮に超新星重力波が観測されたとしてもどのような物理量が決まるかは定かではなかった。しかし、今回我々は、超新星重力波の振動数を原始中性子星における振動モードで同定することに成功し、さらに超新星モデルによらない形で重力波振動数を表す経験則の導出に成功した。一方で、原始中性子星が冷えていく過程では、状態方程式や星の質量に関する依存性がほぼないことが冷却中性子星の理論研究から知られていたが、重力波観測を通して、中性子星モデルへの新たな情報を与えることができることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
超新星重力波における自転の効果を調べるべく、まずは遅い剛体回転するようなモデルでの原始中性子星モデルを構築したのち、そこでの星震学的な解析を行う。原始中性子星モデルを二次元数値シミュレーションで行った場合は、非軸対称な振動モードは励起されないため、まずは軸対称モードにおける自転の効果を系統的に調べる。その後、三次元数値シミュレーションを行い、非軸対称モードの解析も行う。
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