2023 Fiscal Year Annual Research Report
小型望遠鏡を用いた太陽近傍大質量星の多波長モニター観測で挑む初期宇宙ダストの謎
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21H01119
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
板 由房 東北大学, 理学研究科, 助教 (30392814)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 赤外線カメラ / 大質量星 / 質量放出 / 小口径カメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
国立天文台より無償譲渡を受けたHAWAII-2検出器を使って、これまで赤外線カメラの製作を続けてきた。2023年度、ついに赤外線カメラが完成した。検出器読み出し回路の電圧調整等を行い、過去にすばる望遠鏡用の赤外線カメラで使われていた時と遜色のない性能で使用できることがわかった。更に、新しい読み出し方法である32ch読み出しでも研究に使用する事に問題ないデータが得られる事がわかった。これは、読み出し時間の短縮を意味し、観測時間のオーバーヘッドを減らすことにつながる。 ポーランドを主体とする国際研究コンソーシアムAraucaria project(欧州、米国、チリが参加)は、局所宇宙距離尺度の精密化を目的とし、2000年にプロジェクトが立ち上がった。その後、各種恒星標準光源の絶対光度較正を続け、現在までに200本以上の論文を出版し、最も権威があると考えられているNature誌にも4編の論文を掲載される等、華々しい成果をあげている。このプロジェクトのリーダーから突然連絡があり、Araucaria projectへの参画を打診された。本研究で製作している赤外線カメラを、彼らがチリに持つ観測所に将来設置し、共同で研究を行えないだろうか、という提案であった。彼らは我々のこの赤外線カメラを現地でホストするための資金を獲得し、現地に我々用の天体ドームを建設し、赤道儀も購入してくれる事になった。今後はこの計画に参入し、大質量星の研究を続けつつ研究を進めていく。 彼らが本研究で製作した赤外線カメラに目をつけたのは、超小口径の赤外線カメラという特徴を持ち、彼らが欲しているデータを取得できる唯一無二の装置だからである。本研究がユニークなものづくりをしていることを海外の研究者が認識し、評価してくれていた事は大変喜ばしい。そして、将来の国際共同研究に発展していく事になり、今後の展開が楽しみである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検出器を読み出す方法について、新読み出し方法を試し、これまでより短時間に読み出しが行えるようになった。特に問題なく研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度中に日本国内で試験観測を行い、大質量星の時系列データを取得する。
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