2022 Fiscal Year Annual Research Report
初期宇宙の大質量星から生まれるブラックホールの性質の解明
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21H01123
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅田 秀之 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (60447357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 信吾 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特別研究員 (40772900)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 巨大質量星 / 巨大質量ブラックホール / 初代星の形成 / 初代星の進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の成果は主として2つの査読論文、Nagele et al. 2022 とNagele et al. 2023で発表した。 2022の方では、超大質量星が一般相対論的に不安定なる瞬間をこれまでより正確に調べるための手法を開発し、それを実際の超大質量星の進化計算へ応用した。この結果、超大質量星が不安定となる瞬間はこれまでの我々や他のグループの結果より早まり、その結果として超大質量星が超新星爆発を起こす範囲がこれまでより低質量側に、より幅広く存在することを突き止めた。この不安定性の解析手法は先行研究として近年他のグループが行った解析手法を改良し、より正確にしたものであり、そのグループの結果と定性的には一致する。しかし、その先行研究では、より重い、水素燃焼段階で不安定となるケースしか調べていなかったため、今回のようにヘリウム燃焼中に不安定となり、急速なヘリウム燃焼によって爆発するような例を発見したのは、今回の論文が初めてである。 2023年の論文では、同様の手法を少し質量の小さい星にも適応し、少し弱い爆発がおき、星全体は吹き飛ばさないものの、そのような爆発が繰り返し起きるような場合について流体計算のみならず、超新星の光度曲線の計算を行った。その結果、これらの超新星は非常に明るく、遠方宇宙においてJWSTにより観測可能であることを示した。このような計算結果は類似の先行研究はあるが、今回、爆発が繰り返し起きる場合には1回だけの爆発のものより明るくなること等を初めて示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID19の影響により、コード開発のための計算打ち合わせに一部遅れが生じていたが、その遅れも今年度中に解消することができた。本年度は研究において幾つか重要な成果を得られ、研究は概ね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は大質量星が進化中に一般相対論的に不安定なる瞬間をこれまでになく正確に求める手法の確立に成功した。そのため今後はこのコードをより幅広いパラメーター範囲の星に適応し、超大質量星の超新星爆発に伴う元素合成や観測可能性なども含めて研究を進めていく計画である。
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