2021 Fiscal Year Annual Research Report
地球流体力学的アプローチによる木星型惑星大気の研究
Project/Area Number |
21H01155
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹広 真一 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (30274426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 芳幸 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (00372657)
中島 健介 九州大学, 理学研究院, 助教 (10192668)
倉本 圭 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50311519)
佐藤 隆雄 北海道情報大学, 経営情報学部, 准教授 (50633509)
杉山 耕一朗 松江工業高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (60463733)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 木星大気 / 土星大気 / 赤道加速 / 縞状構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は, 木星型惑星大気の表層ジェット生成のメカニズムの研究に用いられいる「浅いモデル」と「深いモデル」の 2 系統のモデルについて, 数値実験の設計と系統的なパラメター数値実験のための予備的なテスト計算を行った. 「浅いモデル」は当初予定していた惑星表面の薄い大気層の 3 次元流体運動を考えたモデルに取り掛かる準備として, 回転球面上の 1 層浅水モデルに小規模対流運動の効果を表す渦度強制を導入してパラメター実験を行った. この数値実験の先行研究である Scott and Polvani (2008) の設定をもとに, モデル解像度を高く, 渦度強制スケールを小さくしたところ, 木星および土星大気にみられるような赤道域の強い順行ジェットと中高緯度域の弱い縞状構造が出現する状況が見出された. このモデルでのパラメター実験は, 今後の3 次元モデルによる数値実験での木星土星大気に相当するようなパラメターを制限する際に役立つと期待される. 「深いモデル実験」は Heimpel and Aurnou (2007) の設定に基づいて, 研究代表者が開発し研究してきた地球流体電脳倶楽部の回転球殻熱対流モデル(http://www.gfd‐dennou.org/library/spmodel/) を用いて, 経度方向の対称性を仮定せず計算領域を全球に広げ, 粘性拡散係数を高次で増加させるパラメターをさまざまに変化させて時間積分を行った. その結果, Heimpel らが見出した, 木星土星大気にみられる赤道順行ジェットと中高緯度縞状ジェットが出現するのは高次の粘性が強い設定の場合のみであり, 高次粘性効果を弱めていくと中高緯度の縞状ジェットが消失してしまうことが見出された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「浅いモデル実験」の予備的なテスト計算を, 地球流体電脳倶楽部の惑星大気大循環モデル DCPAM (http://www.gfd-dennou.org/library/dcpam/) を用いて木星大気を想定した設定で行ったところ, 予想より計算速度が上がらなかった. その対策としてモデルの中核部分である球面調和関数変換ライブラリの改善を試み, テストを兼ねた回転球面上の 1 層浅水モデルを用いたパラメター実験に時間がかかったため, 今年度予定していたテスト計算を十分に行うことができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、特徴的な木星型惑星大気の表層流れの生成維持機構を考察するための「浅いモデル」と「深いモデル」の 2 系統のモデルを用いた系統的なパラメター数値実験を設計および遂行していく。「浅いモデル」は地球型惑星大気モデルの延長であり,静水圧平衡を仮定した惑星表面の薄い大気層の運動を考え、大気運動は大気上端からの太陽放射と下部からの熱流の両者によって駆動されるものである。「深いモデル」は惑星半径と同程度の厚さの球殻領域の大気層を考え、静水圧平衡を仮定せず、内部熱源からの深部熱流によリ大気運動が駆動されることを考慮するモデルである。 改善した球面調和関数変換ライブラリを「浅いモデル」の実体である惑星大気大循環モデル DCPAM に導入して高速化を図り, 遅れている「浅いモデル」数値実験の設計と系統的なパラメター数値実験のための予備的なテスト計算を早期に実施する. 「深いモデル」数値実験は昨年度の予備的な計算結果をふまえて系統的なパラメター数値実験を開始する. 並行して、木星型惑星大気に即した湿潤過程パラメタリゼーションや下面境界条件を考察実装しモデルに導入する。また、木星型惑星大気大循環の地球流体力学的研究の現状とJUNO探査機などの最新のデータ解析の調査研究を行い、当該分野における問題認識を把握し今後の数値実験の立案に役立てる。
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