2021 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding climate change from freshening of deep ocean
Project/Area Number |
21H01165
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
内田 裕 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(海洋観測研究センター), 主任研究員 (00359150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 洋作 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 研究プラットフォーム運用開発部門, 技術主任 (30725619)
粥川 洋平 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (50371034)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 低塩分化 / 海洋深層 / 気候変動 / 屈折率密度センサー / 標準海水 |
Outline of Annual Research Achievements |
観測データに基づき深海の低塩分化の実態を明らかにすることを目的に、深海での微小な塩分変化検出のために、従来の高精度観測に加え、既存の塩分計より分解能が高い屈折率測定に基づく海水密度センサーと、密度・塩分が安定な標準海水を、係留系時系列観測と船舶広域鉛直分布観測で使用し、太平洋深層における地球温暖化の影響を評価する。2021年度は以下の研究を実施した。北太平洋深層での塩分変化の実態を明らかにするために、既存の電気伝導度塩分センサーよりも高分解能・高時間安定性が期待される屈折率海水密度センサーを、係留観測で使用できるように内蔵メモリー・バッテリー式として製作した。また、屈折率海水密度センサーを係留観測で使用するための適切な観測設定を検討するための室内実験を実施した。塩分測定用IAPSO標準海水の認証値のバッチ間オフセットや、輸送・保管環境等に起因した認証値のオフセットの有無を評価するために、IAPSO標準海水よりも塩分・密度が安定なマルチパラメータ標準海水を製作した。さらに、国際単位系SIにトレーサブルな密度・塩分データを蓄積するために、海水密度の精密な絶対測定を実施するための液中秤量装置を改良中である。加えて、太平洋北緯47度に沿った高精度船舶観測(GO-SHIP)航海に乗船し、深海用基準温度計等を用いた海底直上までの高精度水温・塩分データを取得した。また、長期係留観測点K2での底層係留観測データの品質管理の見直しを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
係留観測用の屈折率海水密度センサーについては、2022年4月の係留系回収・再設置航海において係留系への設置を目指して準備を行った。マルチパラメータ標準海水については、KANSOテクノスの協力のもと、新規ロットPre20(333本)を製作した。製作方法は塩分の安定性が確認されているロットPre19と同じとした。製造直後は特性値が安定しない可能性がある(実際に過酸化水素は大きく濃度変化することがわかっている)ので、ロットPre20の初期値を含む測定は2022年度からの実施を予定している。ただし、製造時に塩分測定用に分注したサンプルの塩分測定値からは、十分均質性が高いことが確認できた。海水密度絶対測定のための液中秤量装置については、測定精度向上のための改良(測定中の気圧制御など)を行っているが、完成には至っていない。高精度船舶観測(GO-SHIP)では、高精度な水温・塩分データを取得できた。特に、深海用基準温度計にはヒステリシスが無いことが確認でき、また、軽量のCTDパッケージを用いた千島海溝底までの水温・塩分データの取得に成功した。長期係留観測点K2での係留CTDデータの品質管理を見直したことで、精度良く底層昇温(10年間の係留期間で2.8±0.03 mK)を検出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
係留観測用の屈折率海水密度センサーについては、新型コロナウイルス感染症対策による制限のため2022年4月航海に乗船できないため、2023年7月航海での設置を目指して、係留観測に最適な屈折率海水密度センサーの設定を室内実験で評価するとともに、新型コロナウイルス感染症対策による制限が継続し航海に乗船できない場合に備えた準備も行う。また、船舶によるプロファイル観測用の屈折率海水密度センサーについても、非乗船でも実施が可能な体制を整える。マルチパラメータ標準海水については、特性値の初期値(実用塩分、密度、全炭酸、アルカリ度、ケイ酸塩、硝酸塩、溶存有機炭素)の測定を行うとともに、IAPSO標準海水のバッチ間オフセットの推定(2022年度はバッチP165とP166を予定)時に測定し、バッチオフセットを評価する。また、気象庁の定線観測航海(係留観測点K2での船舶観測実施航海と、IAPSO標準海水バッチ比較実施航海)でマルチパラメータ標準海水を測定する。太平洋で実施された高精度船舶観測(GO-SHIP)データを整理し、太平洋全域の底層や伊豆小笠原海溝内での水温・塩分・溶存酸素等の長期変化に関する結果を公表する。K2係留系の係留CTD・溶存酸素センサーで得られたデータの品質管理を行い、データセットとして公開するとともに、底層昇温等の得られた結果を公表する。
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Research Products
(1 results)