2021 Fiscal Year Annual Research Report
シアノバクテリアの多細胞性の起源と進化、およびその生物地球化学循環への影響
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21H01197
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
原田 真理子 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80833631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
延 優 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40805644)
野村 暢彦 筑波大学, 生命環境系, 教授 (60292520)
植田 宏昭 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70344869)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | シアノバクテリア / 生物地球化学循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
シアノバクテリアは30~25億年前に地球上に出現して以来、酸素、炭素、窒素といった地球環境中の主要元素の循環に重要な役割を担ってきたと考えられる。シアノバクテリアの形態は単細胞から多細胞様まで多岐にわたっており、多細胞性の獲得に代表される形態進化は、代謝や増殖率などの特性を変化させ、生物地球化学循環に大きく影響したはずである。本研究は、集団微生物学におけるイメージング技術やマイクロ流路デバイスを用い、バイオフィルム形成過程の観察を行う。様々な培養条件下におけるシアノバクテリアの集団化の有無を顕微鏡観察することにより、環境の変化がシアノバクテリアが多細胞性に与える影響を評価する。そして、過去に生じた大気組成変動や気候変動がシアノバクテリアの進化に与えた影響を議論する。また、シアノバクテリアの多細胞化やバイオフィルム形成に関連する遺伝子の分子系統解析や、多細胞化に伴う代謝能の変化を導入した生物地球化学モデリング循環により、多細胞生の獲得時期やその生物地球化学循環への影響を評価する。 研究1年目となる本年度は、シアノバクテリアを用いた実験に必要となる研究環境の整備を行うとともに、実験材料の確保を行うことを目指した。 また、バイオフィルム維持に不可欠な細胞外多糖の生合成系について詳細な事前文献調査を行うことを目標とした。研究環境整備は予定通り進行したが、実験材料の確保と事前文献調査については、研究代表者の産休・育休の取得に伴い、中途で終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の研究1年目から2年目は、シアノバクテリアの広義の多細胞性(バイオフィルム形成能)について、その起源と進化(多様性の形成過程)を 明らかにすることを目標とする。具体的には、 バイオフィルムの形成条件の検討を行うとともに、バイオフィルム形成に関わる遺伝子を特定することを目指す。研究1年目である本年度は、これら実験を行う設備環境を整えるとともに、実験材料の確保を行う予定であった。 また、バイオフィルム維持に不可欠な細胞外多糖の生合成系について詳細な事前文献調査を行うことを目標としていた。研究設備の拡充は順調に進んだが、研究材料の確保・および事前文献調査については、研究代表者が中途で産前休暇に入ったため、完了していない。
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Strategy for Future Research Activity |
代表者の復職後に研究材料の確保・および事前文献調査を再開する。また、実験に着手し、実験の手技を獲得することを目標とする。研究2年目にかけて様々な培養条件下でシアノバクテリアの集団化の有無を顕微鏡観察により評価する。さらに、バイオフィルム維持に不可欠な細胞外多糖の生合成系を特定し、関連遺伝子の分子系統解析を通じて、シアノバクテリアにおける多細胞化・バイオフィルム形成の進化史を明らかにすることを目指す。
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[Journal Article] Evolution of Superoxide Dismutases and Catalases in Cyanobacteria: Occurrence of the Antioxidant Enzyme Genes before the Rise of Atmospheric Oxygen2021
Author(s)
Harada, M., Akiyama, A., Furukawa, R., Yokobori, S., Tajika, E. & Yamagishi, A.
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Journal Title
Journal of Molecular Evolution
Volume: 89
Pages: 527-543
DOI
Peer Reviewed