2022 Fiscal Year Annual Research Report
The history of mononegavirus infections hidden in the eukaryotic genomes
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21H01199
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
堀江 真行 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (20725981)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 古ウイルス学 / 内在性ウイルス様配列 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、TFASTXおよびTFASTY(TFASTX/Y)による配列類似性検索は、従来のtBLASTn検索よりも高感度にウイルス様配列を検出できることが示唆された。今年度はまず、TFASTXおよびTFASTYを用い、ボルナウイルスおよびフィロウイルス様の内在性ウイルス様エレメント(EVE)の検出を試みた。昨年度の予備的探索の結果と一致して、TFASTX/Yによる検索ではtBLASTnよりも多くの配列ヒットが得られた。しかし、TFASTX/Yでのみヒットした配列について詳細な解析を行ったところ、多くは単純な繰り返し配列であり、EVEではない可能性が示唆された。このためTFASTX/Yによる検索は中断し、次年度にはtBLASTnによる大規模検索を新たに行うこととした。 次に、配列類似性検索のみに依存しない新たなEVE検出法の開発を試みた。ボルナウイルスゲノムはN、X、P、M、G、Lの6つの遺伝子を持つ。ボルナウイルス由来EVE(EBL配列)は脊椎動物ゲノムに大量に存在し、N、M、GおよびL遺伝子に由来するEBL配列は比較的多く検出されるのに対し、XおよびP遺伝子に由来するEBL配列はほとんど検出されていない。我々は、このEBL配列の由来となる遺伝子の検出数の偏りが進化速度の違い、つまりXおよびP遺伝子は他の遺伝子に比べて進化速度が速いため、通常の配列の類似性に基づく検索では検出することが困難であると考えた。そこでボルナウイルスのN/X/Pの3つの遺伝子をコードする特殊な転写産物である1.9 kbのmRNAに着目した解析を行った。その結果、配列類似性検索では検出できないものの、ボルナウイルスの1.9 kb mRNAに由来するEBL配列が存在することを裏付ける一連の証拠を得た。本研究は、これまでの配列類似性のみに基づくEVE探索に新たな視点を提供するとともに、他のウイルスに由来するEVE配列の検出にも応用可能と考えられ、今後のEVE研究の発展に大きく寄与すると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画当初は予期していなかった配列類似性検索のみに依存しない検出手法を開発したことにより、これまでに見逃していたEVEを検出することができたため、より詳細に過去のウイルス感染についての情報が得られると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度はtBLASTnによるモノネガウイルス由来EVEの網羅的検索に加え、2022年度に得られた新たな検出手法を応用し、より効率的に検索を行う。また検索によって得られたデータの詳細な解析を行い、分子系統解析や挿入年代の推定、さらには過去のウイルスの宿主の解明を行う。
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Research Products
(6 results)