2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study of Instability and Turbulent Transition of Helical Vortices
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21H01242
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
服部 裕司 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (70261469)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | らせん渦 / 曲率不安定性 / 楕円型不安定性 / 長波長不安定性 / 乱流遷移 / 風車ロータ後流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、らせん渦が不安定化し乱流遷移する過程と、遷移後の流れの性質を、物理的素過程としての不安定性に基づいて体系的に解明することである。これにより、らせん渦を特徴づける複数のパラメータ(太さ・捩り・軸流・本数・レイノルズ数)と擾乱の性質に対する依存性の全貌を明らかにする。 令和3年度は、乱流遷移の端緒となる不安定性の全貌を明らかにすることを目的として、らせん渦の線形不安定性で理解が十分でない短波長不安定性についての研究を行った。研究代表者が作成した数値シミュレーションコードと、らせん対称性を利用する研究協力者の数値シミュレーションコードの二つの方法による結果を比較検討し、らせん渦の曲がりに起因する曲率不安定性と、ひずみに起因する楕円型不安定性について、どちらの手法でも正しく捉えられることを確認した。らせん渦の不安定モードの構造と成長率は、太さが小さい極限では渦輪の場合と一致する。渦輪の場合の数値シミュレーション結果および理論との比較を行い、実際によく一致することを確認した。軸流の向きによって不安定性の成長率や波数の範囲が異なることを発見した。これは捩りが対称性を破る効果と解釈することができる。また、らせん渦の本数と捩りによってひずみの強さが大きく変化し、楕円型不安定性の強さが変化することも示された。特に本数が1で捩りを決めるピッチが0.7の場合には、ひずみが弱くなり、相対的に曲率不安定性が強くなることも示された。以上のように、短波長不安定性のパラメータ依存性を詳細に明らかにした。この結果は、乱流遷移する過程と遷移後の流れの性質を明らかにするための出発点として重要なものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、らせん渦の短波長不安定性について、曲率不安定性および楕円型不安定性の不安定モードの構造と成長率を正確に捉えることができたことは、本研究の手法の有効性を示すものであり、今後の研究を進める上でたいへん重要性がある。さらに複数のパラメータに対する依存性を明らかにしたことは、令和4年度以降の乱流遷移過程の研究ターゲットを選択する上で重要な役割をもつ。特に、ひずみの強さがパラメータに強く依存することは、乱流遷移過程にも大きく影響すると考えられるため、意義のある結果である。 また、直接数値シミュレーション研究のためのプログラム開発も進めることができた。これを用いて長波長不安定性による不安定化過程の研究を前倒しで始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
上の進捗状況を踏まえて、令和4年度は短波長不安定性の固有モードを擾乱として与えた場合の非線形発展の研究を行う。複数のパラメータの中の一つ以外を固定し、(1) 軸流依存性、(2) ピッチ(捩り)依存性、(3) らせん本数依存性を明らかにする。軸流については大きさだけでなく向きも考慮する。さらに、長波長不安定性の固有モードを与えた場合の非線形発展の研究を行う。パラメータが複数あり、これをいかにカバーして全貌を明らかにするかが本研究の課題の一つである。より多くの場合のデータを得ることを目的として、効率的に結果を得られるようにするため、数値シミュレーションプログラムのパラメータ最適化を事前に行う。
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