2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of hybrid ultrasonic levitation system for 6-DOF acrobatic manupilation
| Project/Area Number |
21H01268
|
|---|
| Allocation Type | Single-year Grants |
|---|
| Research Institution | Muroran Institute of Technology |
|---|
Principal Investigator |
青柳 学 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 教授 (80231786)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
孔 徳卿 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (50868974)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
| Keywords | 浮揚 / 保持力 / 定在波 / 超音波 / マニピュレーション / 板状物体 / 音響放射圧 / 非接触搬送 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では近距離場音波浮揚（NFAL）による６自由度非接触操作可能な安定で実用的な非接触搬送システムの構築を目的としている。本年度では，板状物体を振動面上に非接触で受け止めること，板状物体の定在波音場浮揚(SWAL)と非接触搬送を試みた。本年度の研究実績は以下の通りである。
●テーマ１：６自由度動作システムの開発（運動制御）
音響放射面に窪みを適切に設けると，板状物体はNFAL状態から突然跳躍する状態に移行する。その後に板状物体を同じ振動面上に非接触で受け止めることを検討した。跳躍後の板状物体の姿勢は不安定であるため，板状物体に支持棒を付加して団扇形状にし，支持棒の片端を中心に団扇を扇ぐように回転運動するモデルで検討した。振動面と板状物体は傾いて対向した空間に定在波音場が複数の位置で形成される。それらの位置では板状物体は重力と音響放射力がつり合うため保持された。振動振幅では保持位置を大きく変化できなかった。したがって，板状物体を振動面に接近させるには保持できない程度に振動振幅を減少させ，その後に非接触でNFALに移行するように振動振幅を急増させる必要があった。板状物体の運動の再現性が高いため，振動振幅のシーケンス制御によって振動面上に非接触で捕捉することを実現した。
●テーマ２：板状物体の定在波音場浮揚の安定化に関する研究
上下に対向させた振動面（振動面対）で形成される音場内に板状物体を水平に配置し，浮揚可能な定在波音場の形成条件を有限要素解析により求めた。試作した結果，板状物体の安定なSWALが実現できた。さらに，同様の振動面対を隣接させたモデルで搬送の可能性を検討した結果，振動面の振動位相を調整することでSWALでも搬送力が発生することを見出した。試作実験の結果，板状物体の姿勢の乱れのため浮揚を維持できなかった。板状物体の姿勢変化を設計時に十分に考慮する必要がある。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実施計画に基づいて研究を実施した。研究項目ごとの進捗状況は次の通りである。
●テーマ１：６自由度動作システムの開発
落下する板状物体を振動面上で非接触で受け止めることを検討した。自由に落下する板状物体の姿勢は不安定であるため，解析や実験を容易にするため，板状物体に支持棒を取り付けて団扇状にし，支持棒の片端を中心に扇ぐように回転するモデルを作製した。振動振幅の制御により振動面に非接触で受け止め，NFALで保持することに成功した。姿勢を限定した検討であるが，振動面上に非接触で受け止めることができたことは大きな進展である。板状物体が自由な姿勢で落下する場合にも複数の振動面で対応できる可能性が見えてきたが，検討不足であるためやや遅れている，と判断した。
●テーマ２：板状物体の定在波音場浮揚の安定化に関する研究
定在波音場内で板状物体の浮揚に成功した。振動面間を乗り継ぐ際に板状物体の姿勢が乱れることで音場も乱れ，浮揚力が失われることが分かった。音場解析で板状物体の姿勢変化の考慮が不足しており，再解析に時間を要するため「やや遅れている」と判断した。しかし，SWALによる浮揚搬送方法として新たな構成の考案に至っており，音場解析や構成が容易であるため遅れを取り戻せる可能性がある。
|
| Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析結果，実験結果を基に浮揚搬送システムの試作・実験を中心に行う。新たに見つかった課題に対しては解決を試みる。また，新たに考案した構成を実現し，本研究を発展させる。研究計画に基づいて次の研究テーマを進める。
●テーマ１：６自由度動作システムの開発
１自由度に制限した条件において，板状物体の位置，姿勢によって変化する音響放射力を制御することで非接触で受け止めることに成功した。板状物体の姿勢の自由度を増やし，姿勢制御のために複数の振動面を用いる。それらの制御による音圧場の設計と制御について検討を進める。想定できる姿勢ごとに浮揚物体に作用する音響放射力を明らかにし，複数の振動面から放出される音響放射力により，姿勢の安定化と振動面上に非接触で受け止めることを検討する。
●テーマ２：板状物体の定在波音場浮揚の安定化に関する研究
振動面を搬送方向に並べた構成で，板状物体の姿勢と音場の変化を解析により把握し，振動面形状，励振条件を再検討する。試作・実験を行い，浮揚と搬送の評価を行う。また，複数の振動面に拡張した構成により，保持力が大きい音圧場の形成および搬送力の発生の是非を検討する。さらに，音場の見直しを行い，比較的大きな振動面間に形成される格子状の音圧場による板状物体の浮揚を検討する。
|
