2021 Fiscal Year Annual Research Report
球殻外転型運動補償装置の開発による節足動物の腹側からの計測と新たな生理指標の獲得
Project/Area Number |
21H01295
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
永谷 直久 京都産業大学, 情報理工学部, 准教授 (10636418)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 行動計測 / 節足動物 / 運動補償装置 / 腹側計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の2021年度は、初年度は、申請者がこれまでに開発に携わってきた全方向運動補償機構を有した行動計測装置(ANTAM)をベースに改良を行い、アクチュエータやカメラを球体内部に配することで、腹側からの動画像解析を行う球殻外転型の行動計測装置の開発を行った。球殻外転型の方式で課題となるのは、球体内部に配したカメラなどの光学系と観察対象の位置関係を一定に保つように姿勢制御を行いながら運動補償の制御を行わなければいけないことである。この問題を解決するために、球殻内部の装置全体の質量や重心位置の最適化を行うとともに、球殻外のボールベアリングなどで構成された土台と球殻内部の装置下部のそれぞれに永久磁石を取り付け、磁石の引力により装置全体の姿勢を一定に保つ工夫を行った。 具体的な腹側からの計測システムの構成として、球体内にプレインベアを周囲に配したカメラ台座を設けて手ぶれ補正機能のあるアクションカメラを設置し、球体の外側に設置した磁石との台座に設置した磁石の引力により、球体の回転に伴う台座の固定およびカメラの揺れの抑制を実現した。 腹側画像の特徴点抽出およびトラッキング方法として、Pythonライブラリとして公開されているDeepLabCutを用いて、オカダンゴムシを対象に学習と判別を試みた。この結果、4Kの高解像度画像では学習のためにもっと高性能なPCが必要であることが分かったが、Full HD画質であれば現在使用しているPCでも問題なく動作できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腹側からの計測システムの構成として、球体内にプレインベアを周囲に配したカメラ台座を設けて手ぶれ補正機能のあるアクションカメラを設置し、球体の外側に設置した磁石との台座に設置した磁石の引力により、球体の回転に伴う台座の固定およびカメラの揺れの抑制を実現した。 腹側画像の特徴点抽出およびトラッキング方法として、Pythonライブラリとして公開されているDeepLabCutを用いて、オカダンゴムシを対象に学習と判別を試みた。この結果、4Kの高解像度画像では学習のためにもっと高性能なPCが必要であることが分かったが、Full HD画質であれば現在使用しているPCでも問題なく動作できることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進の方針として、それぞれ個別に開発改良を行なってきたハードウェア機構としての運動補償機構と、ソフトウェアとしての腹側からの画像処理システムの統合を行い、オカダンゴムシを主な計測対象とした行動計測実験を行う。 また、統合した腹側からの行動計測システムを量産するとともに、 LEDアレイで構成される視覚刺激装置の開発や、球殻内部のバッテリへの無線給電化などの改良を行っていく。装置を量産する理由は、対象とする生物の脱皮前後や繁殖期など、限られた期間において複数の個体で実験する必要があるためである。また赤外カメラと近赤外領域のLEDを備えたバージョンの開発を行う。 行動計測実験の具体的な計画としては、オカダンゴムシ脱皮前後の身体特性が異なる条件での身体動作の変化と個体内での普遍的行動の抽出を行う。また、光刺激などを提示した状態における脱皮時前後の行動計測も並行して行い、環境の変化および身体特性の変化に依存しない行動の抽出を行う。
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