2023 Fiscal Year Annual Research Report
球殻外転型運動補償装置の開発による節足動物の腹側からの計測と新たな生理指標の獲得
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21H01295
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
永谷 直久 京都産業大学, 情報理工学部, 准教授 (10636418)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 節足動物 / オカダンゴムシ / 腹側計測 / 3次元行動計測 / 歩行解析 / DeepLabCut / Data Augmentation |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度(令和5年度)の研究成果として、節足動物であるオカダンゴムシを対象として、腹側からの単一視点に対する解析と腹側を含む複数視点からの解析による3次元動体解析の実現がある。 本研究では、DeepLabCut (DLC)を活用し、腹側視点の動画から節足動物の詳細な動作解析を行い、これまでの事例にない高精度なトラッキングを実現した。十分な学習コストを投じることで、誤差を最小限に抑え、陸生節足動物におけるモーション解析の可能性を拡大した。しかし、異なる撮影環境への汎化性には限界があることが判明し、今後の課題として多様な環境下での汎化性能の向上が挙げられる。そのためのアプローチとして、多様なデータ収集やData Augmentationによる効率的なデータセットの構築が有効である。 さらに、自作の多視点カメラシステムを用いた評価実験では、カメラ配置による3次元姿勢位置データの精度差を検証した。Aniposeによる3次元データとDLCによる2次元データのRMSEを基準にして、腹側と側方のカメラ配置、腹側と斜方のカメラ配置の2つの条件下での性能を評価した。その結果、どちらの配置も1mm以下の誤差で3次元トラッキングが可能であり、大きな差は見られなかった。これにより、多視点カメラシステムが運動補償を伴う行動計測装置にも適用可能であることが示唆された。 結論として、これらの研究から、節足動物の関節点を1mm以下の誤差で連続的に3Dトラッキング可能な革新的なモーションキャプチャシステムの構築に成功した。今後の展望としては、環境適応性をさらに高め、多様な応用分野への展開を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DeeplLabCutを用いた腹側動画像への効率的なトラッキングを行うために、観察対象の身体を固定したテザー環境での学習データ構築を行い、高精度でのトラッキングと3次元計測が実現できたが、運動補償装置との統合まではできなかった。 また、査読付きの論文誌や学会発表などの対外発表を行うことができなかったため、本年度の計画よりも遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究では、節足動物の自由行動下における動態解析技術の進展を目指し、特にオカダンゴムシの全脚部の動作解析とその連動性に焦点を当てる。昨年度、我々は運動補償に基づく定点観測と腹側観測を統合する計測システムの開発に成功し、DeepLabCutを用いた節足動物の腹側からの動態解析手法を確立した。この技術を基盤として、今年度の研究実施計画として一つ目の計画を主軸として、以下の三つの内容を並行して実施する。 一つ目として、オカダンゴムシの全脚部の詳細解析と連動性の解析を行う。オカダンゴムシの14脚全ての関節に対する3次元動作解析を行い、その動作の連動性を定量的に解明することで、オカダンゴムシの運動特性を明らかにする。特に、歩行時の各関節の角度変化を詳細に解析し、剛体としての近似ではなく、しなやかな動きに着目した解析を行うことで、オカダンゴムシの自然な運動特性を捉える。 二つ目として、オカダンゴムシ以外の節足動物種に対しても解析を行うための基盤構築を行う。現行のワークフローでは、学習データを構築するための人手による多点ラベリングが大きなコストとなっている。このため、ラベリング作業の自動化または半自動化によるコスト削減を目指す。具体的には、データ拡張と機械学習技術の応用により、ラベリング作業の効率化を図る。これにより、オカダンゴムシだけでなく、他の節足動物種への解析拡大の基盤を構築する。 三つ目として、対象の動作計測に合わせて3次元スキャンモデリングを行い、生物の形態と動きを統合したデータを生成するフレームワークを構築する。これにより、節足動物の3次元形態情報のデータベースを充実させ、生物学研究やバイオミメティクス設計への応用を目指す。
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