2021 Fiscal Year Annual Research Report
これならいける!革新的コンセプトに基づいたシート状有機集積回路の実現
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21H01374
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
皆川 正寛 長岡工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (20584684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新保 一成 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80272855)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ワイドギャップ有機半導体 / 還元性有機材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では,ワイドギャップ有機半導体(OSC)層に確実に電子を注入できる技術を確立するために,陽極/OSC層/電子注入層/陰極の構造を持つ縦型素子において,電子注入層の形成条件と電子注入性の評価を行った。比較対象として電子注入層を持たない素子,無機材料であるフッ化リチウム(LiF)を電子注入層に用いた素子,さらにpolyethyleneimine (PEI)およびpolyethyleneimine ethoxylated (PEIE) を電子注入層に使用した素子を作製した。当初はセシウム(Cs)蒸着膜を電子注入層に用いる予定であったが,大気中で予想以上に不安定であったため,申請書で発展的課題として候補に挙げていたPEIおよびPEIE薄膜を用いることとした。 得られた成果と考察は以下のとおりである。電子注入層を挿入しない素子では,電流密度が最も低くなった。これは,陽極側では,陽極とDPAの仕事関数の差が大きいためホールが注入されにくく,また,陰極側では,陰極とDPAの電子親和力の差が小さいため電子が注入されにくいことが原因と考えられた。これに対し,電子注入層を挿入した素子では電流密度が増大した。これは,陰極/有機半導体層界面に電子注入層が挿入されたことで,電子注入障壁が小さくなり電子が注入されたためと考えられた。特に,PEIとLiFを挿入した素子はその他の素子に比べ大きな電流がみられ,良好な電子注入性を示すことが明らかとなった。 一方,当該年度では磁性体シャドウマスクアライメント装置に加え,正確な特性評価を実現できるプローブステーションを窒素雰囲気下に構築した。さらに,トランジスタの構築に向けて基板の表面エネルギー計測装置を導入し,素子に適した基板表面修飾剤の選定も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アライメント装置に関しては,オートアライメント型の導入を計画していたが,サイズおよび経費の関係上マニュアル型に仕様変更した。しかし,そのおかげで次年度以降に導入を予定していた評価装置を前倒しで導入することができた。若干の仕様変更はあったが,計画していた設備や物品を購入し,トランジスタを作製するための良好な基礎データを概ね得ることができた。 一方,得られた成果をもとに次年度計画していた「トランジスタの作製」にも挑戦し課題の一部を先取りで見出すことができたため,当初の計画以上に進められたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症の蔓延により研究進捗が遅れるかと思われたが、幸いなことに今年度は大きな遅れは発生しなかった。しかし,海外の研究機関に出向いての分析や実験を行うことができなかった。次年度以降は状況がさらに悪化し,半導体の供給不足による発注製品の納品遅れや研究協力者である研究室学生が自由に登校できない状況も予想されるため,早め早めに研究計画を推進する。
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Research Products
(4 results)