2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Controllable Myoelectric Arm Prosthesis Based On Electronic Motion Coordination and Reflex Action
Project/Area Number |
21H01379
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
葛西 誠也 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (30312383)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 筋電義手 / 組合せ最適化 / リザバー計算 / 運動組織化 / 反射応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動神経系を伝達する筋電信号を取得し随意運動(ユーザーが意図する運動)をリアルタイムかつ高精度に読み出す手段として機械学習の一種であるリザバー計算フレームワークの適用にあたり、適切な規模のシステムを見出すために必要となるリザバー計算系の構成・規模と計算能力の関係について検討を行った。系の数理構造から複雑ネットワーク理論と線形代数を組み合わせたモデル化に至り、リザバーを構成するネットワークおよびノード非線形性と系の関数表現力の関係性が見えつつある。 リザバー計算系に対する深い理解のため物理電子リザバー実装を同時並行して行い、半導体トンネルダイオードによる非線形ノードおよび非線形振動子によるダイナミックノード構成とその接続のシミュレーションおよび実測と評価解析を行った。いずれのノード形態も実現に成功し、さらに実デバイスを用いた実装における課題と対応策について多くの知見を得た。 アメーバ型最適化問題解探索と強化学習を組み合わせた独自の自律ロボットのためのその場行動発見・行動発達の仕組みを創出した。さらに、探索型行動で得た知識をベースに高効率行動へ移行する機構「2段階発達」を編み出し、小規模モデルに対して数値シミュレーションを行い、高効率なパターン反復型の行動を見つけて自発的に移行できることを実証した。本成果は、筋電義手が使用者の随意運動と環境や対象物の違いによるその場の動作調整に可能にし、反射能力の実装につながる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、筋電信号から随意動作を読み出す機構の実装を主に取り組む計画であったが、リザバー計算による筋電信号解析・分類に必要な系の規模や計算能力について理解する必要があったため、計算原理と能力の数理的解釈に研究の主軸を移した。近年リザバー計算に関し数多くの報告がなされているが、ネットワークダイナミクスの取り扱いの難易度が高く現象論的か高度に抽象的であるため系のモデリングや設計に適さない。ダイナミクスの効果を一旦切り離しエクストリームラーニング系とすることで複雑ネットワーク理論と線形代数を組み合わせた数理的扱いが可能になり、リザバー計算の計算原理や計算能力について理解を深めることができた。リザバー計算系設計の基礎となる成果である。 また、実際に非線形トンネルダイオードをもちいノードと接合の効果を検証し、信号伝播スピードに対し素子応答が十分速い場合リザバーとして機能しないことを確認し、その理由と解決法など多くの知見を得るに至った。 さらに、自律ロボットの行動発達方法に関し、最適化計算ベースの独自方法「2段階」を編み出すことができた。本方法は環境にあわせて適した行動を見出し発達させることができる。この成果は、筋電義手が使用者の随意運動と環境や対象物の違いによるその場の動作調整に可能にし、反射能力の実装につながる。
|
Strategy for Future Research Activity |
リザバー計算に関し、ネットワーク理論と線形代数を結びつけたリザバー計算系の新たな解析法を導出し、未確立であるリザバー設計論の先鞭をつける。筋電信号は高次元空間に写像されているため観察波形から運動情報を直接読み出すことが困難であることに対し、多点表面筋電波形にリザバー計算と本解析法を適用し筋電位の空間次元と基底関数を同定することで正確に筋電信号から随意運動情報を推定する手法を試みる。また、感覚フィードバックによる筋電義手の状態把握機構に関し、フィードバック情報量を高めるために、振動子集積型ハプティクスでバイスにおける振動表現の多様化を図る。多様化には振動干渉による単体振動子では不可能な超低周波振動の生成や振動の時空間パターンを制御する。現状においては運動時に手や腕に感じる感覚と人工生成される振動が与える感覚は異なるが、これらが正確に相関し精度良く再現するならば、経験を積むことで操作者の適応力が作用し多様な振動から義手状態を推定可能になる。そこで最適化計算を活用し、義手側センサにより義手状態を捕捉しセンサ情報と時空間振動パターンの組合せを最適化する。
|