2021 Fiscal Year Annual Research Report
特殊土の何が地盤災害を引き起こすのか~破砕性土地域の災害脆弱性の克服
Project/Area Number |
21H01423
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
海野 寿康 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 准教授 (50570412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊本 統 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (90508342)
松丸 貴樹 公益財団法人鉄道総合技術研究所, 構造物技術研究部, 主任研究員 (00425927)
加村 晃良 東北大学, 工学研究科, 助教 (80761387)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 粒子破砕 / 単粒子破砕試験 / 液状化 / 繰返しせん断 / 3次元個別要素法 / 数値モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,粒子破砕性や軽い土粒子密度,非塑性細粒分に代表される特殊な性質を有する破砕性土の災害脆弱性メカニズムの把握を行う. 2021年度は,研究初年度であり,破砕性土の代表的な土である火山灰質粗粒土のうち,挙動が把握し易い軽石に着目した要素力学試験を分担研究機関(宇都宮大)にて実施,粒子破砕とせん断変形挙動の関係性の把握を行った. 特殊土用のせん断試験は,せん断中の破砕の様子を観察する特殊治具や高精度な微小変位計測センサーの追加など一般的な土の要素力学試験装置(中空ねじり試験装置,振動三軸試験装置)を改良した特殊実験装置が必要である.また,土粒子の集合体である土のせん断挙動把握だけでなく,土粒子単体の破砕挙動を観察するための特殊載荷装置として,単粒子破砕試験装置が必要になる.この為,今年度はそれら試験機材の整備を行った(2021年度,宇都宮大学に単粒子破砕試験を新規に導入した). さらに本研究では,2021年度に整備した機材を用いて実験を実施し,土粒子単体および集合体である土のせん断強度,せん断変形特性の把握を行った.試験対象土は,前述の通り,研究担当機関が所在する地域に分布する火山灰質土を使用した他,2018年北海道胆振東部地震時の崩壊土砂や,笠原諸島・北硫黄島付近にある海底火山起源の軽石など,全国各地の軽石混じり土を用いて試験を行っている. 得られた室内試験結果を基に,数値解析モデルの構築を分担する研究分担者(横浜国大 他)はそれぞれモデルの開発を進めているとともに,数値実験担当者(東北大)が3次元個別要素法を用いて,単粒子破砕試験による粒子単体の破砕挙動の再現,ならびに土単粒子の集合体である土のせん断試験挙動再現を進めた. 以上より得られた成果は,研究担当者が所属する地盤工学会や土木学会などの研究発表会やシンポジウム等で発表,あるいは2022年度に発表予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は研究初年度ということで,特殊土の粒子破砕性を把握するための特殊せん断試験装置の改良・開発とそれら装置による単調載荷,繰返し載荷試験を行った.得られた成果のうち,粒子単体の破砕挙動や繰返し載荷試験による土粒子集合体中の破砕発生状況の観察など貴重なデータを取得することができた. 2022年度も引き続き実験を継続するが,一部実験を実施したことにより,試験条件の修正点が見つかった為,2022年度に追加でせん断試験装置を改良する予定である.2022年度の成果は,土木学会論文集等への投稿を予定している.また各種実験より得られたデータを基に数値解析モデルの構築を行う予定である.また,2022年度,2023年度に実施予定の模型盛土に対する降雨による盛土崩壊実験に使用する試料についても,2021年度実施した各種実験データを基に2022年度に試験条件や材料条件などを詰める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の要素せん断試験結果を受け,2022年度もさらにせん断実験装置を改良し,精度の高いせん断実験データを取得できるよう試験装置,試験条件を検討しつつ実験を継続的に実施する.2021年度,さらには2022年度の要素実験データを基に数値実験の高度化を行い,同様に数値解析モデルの構築を進める.特に2021年度に実施した実験では,繰返しせん断中のどの段階で粒子が破砕し,粒径の小さな粒子が発生してくるのかについて把握することができた.また,単粒子破砕試験を新規に開発,その装置を用いて実験を実施し,軽石混じり土のせん断変形挙動に関する災害脆弱性について各種有益な情報を入手できた. これら破砕性土の特殊性に関する情報を数値モデルの構築や今後実施する模型実験にフィードバックするとともに,まさ土(風化残積土)やサンゴ礫など日本国内,あるいは海外の破砕性土に対して同様の実験を行っていき,これまでに情報を蓄積してきた軽石,あるいは非破砕の一般的な土との共通点と差異を明らかにしていく.
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Research Products
(16 results)