2021 Fiscal Year Annual Research Report
Prediction and Understanding of Sudden Kuroshio Coastal Intrusion Processes by Integrating New Generation Satellites and Responsive Field Observations
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21H01444
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
美山 透 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(アプリケーションラボ), 主任研究員 (80358770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 潔 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (20345060)
吉江 直樹 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 講師 (50374640)
西垣 肇 大分大学, 理工学部, 准教授 (70253763)
堤 英輔 東京大学, 大気海洋研究所, 特任助教 (70635846)
植原 量行 東海大学, 海洋学部, 教授 (90371939)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 黒潮 / 急潮 / 沿岸海洋観測システム / 海洋予測モデル / 駿河湾 / 豊後水道 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋予測モデルは、従来の分解能に加え日本周辺1/120度のモデル、さらに豊後水道・駿河湾では水平分解能1/500度のモデルを準備し、海洋予測を実施すると共に、配信体制を整えた。さらに、河川モデルや、アンサンブル予測の導入を行った。海流予測モデルを利用し、黒潮の沿岸環境への影響の例として、東京オリンピック日本セーリングチーム支援、海洋プラスチック拡散、福徳岡ノ場からの軽石漂流予測などの社会応用を実施した。 豊後水道では、北部佐田岬半島先端部での高頻度多項目モニタリング及び北部の潮汐フロント周辺海域における断面観測を実施した。特に、2021年7月の大潮・小潮に潮汐フロントを横断する測線で乱流計測を実施した。最も強い乱流は下げ潮時に暖水フロントの表層10mで観測された。この強い乱流は顕著な鉛直密度逆転を伴っておりフロントの移流に伴う対流不安定によって生じたと考えられる。さらに、豊後水道西部での係留観測による高頻度多層水温モニタリングの立ち上げを実施した。2021年6月より順次データを取得している。観測は,臼杵湾,佐伯湾,猪串湾の3点で行い,各測点における水温鉛直分布と表層塩分,加えて佐伯湾における海底付近の塩分を測定している。 駿河湾では、湾内の3カ所において、係留海洋観測(水温塩分計と電磁流速計)を実施することに成功した。また、静岡県水産・海洋技術研究所が実施している駿河湾の定期海洋観測データ(CTD観測)を解析し,2002-2020の期間における水温・塩分・密度で特徴づけられる水塊特性について,月ごとの温度・塩分ダイアグラムの頻度分布を作成して調べた.その結果,コア水塊としてほぼ変動のない重い水塊と表層の顕著な変化をもつ温度・塩分構造が認められた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年は、翌年度以降の計画を進めるために、海洋モデルと観測の準備を進める年であると位置づけていた。以下の通りこれは順調に進んでいると言える。 まず、海洋予測モデルについては、予測を継続的に実行する準備ができた。また、改良点として、気候値の月平均河川流量を与えていたのを、陸面モデルを使い降水にともなうリアルタイムな河川流量を与えるようにし、沿岸に大きな影響を与える塩分分布がより現実的に計算することができるようになった。海洋研究開発機構で発生したセキュリティインシデントの影響を受け、今年度はデータ公開については滞ったが、次年度以降には影響が無いまでに解決している。 次に、豊後水道の観測については、試験的な乱流計測を予定通り実施できた。本年度の観測時には急潮は発生していなかったが、今回発見された暖水フロント表層における対流不安定混合は急潮に伴う暖水フロントの波及過程に関連すると考えている。豊後水道西部での係留観測は、大分県水研の協力が得られたため、当初の予定以上に早期に多層水温連続モニタリングシステムの構築を行うことができた。初期には電導度センサへの生物付着などによる測定失敗があったが,2021年秋以降は良好なデータが取れている。 さらに、駿河湾では3カ所において、係留海洋観測(水温塩分計と電磁流速計)を実施することに成功した。本観測によって取得できたデータは、黒潮大蛇行期において約1年間に渡るものであり、前例がほとんど無い貴重なものとなった。静岡県水産・海洋技術研究所の協力を得て、次年度以降も観測を継続する見込みが立った。21年度はコロナの影響等で船舶を使った観測は実施できなかったものの、静岡県水産・海洋技術研究所のCTD観測データを取得し解析を始めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
海洋予測モデルについては急潮予測を開始し、観測と比較できる状態にする。また継続的なアンサンブル海洋予測を軌道にのせる。 豊後水道では、2022年度以降は計画していた夏期の集中観測を実施する。豊後水道における乱流調査を本格化し、大潮・小潮による鉛直拡散強度変化等の基本場を明らかにするとともに、暖水フロント域における乱流混合プロセスの詳細の解明を目指す。このことを通じ豊後水道の数値流動モデルの高精度化と急潮予報の高度化に寄与する。コロナ感染状況が落ち着いていれば、愛媛大学CMESの研究船「いさな」を利用した豊後水道における数値モデル検証に有用な機動的海洋観測を実施予定である。 駿河湾内では、係留海洋観測について継続する。その結果、本流のみならず周辺沿岸域の循環にも大きな変動を伴う黒潮大蛇行期における、黒潮と沿岸循環の相互作用の実態解明に資するデータを重層的に取得することを目指す。また、21年度に購入したXCTDを用いて、望星丸にて駿河湾の1/10度格子観測を実施する。同時に,研究実績の概要で示した温度・塩分構造の変化の要因,季節変動なのか経年変動なのか(つまり,外洋の影響の有無,陸水の影響の有無)についてさらなる解析を行う. 観測と海洋予測モデルを比較することで、黒潮と沿岸循環の相互作用の実態解明に資するデータを重層的に取得する。
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Research Products
(25 results)
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[Presentation] 駿河湾への黒潮水貫入とそれに伴う湾内の表層循環2021
Author(s)
豊田隆寛, 坂本圭, 碓氷典久, 広瀬成章, 田中潔, 勝間田高明, 高橋大介, 仁木将人, 轡田邦夫, 美山透, 中野英之, 浦川昇吾, 小松謙介, 川上雄真, 山中吾郎
Organizer
日本海洋学会2021年度秋季大会
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