2021 Fiscal Year Annual Research Report
火山由来の堆積地盤における強震動予測のための地盤構造モデルの高度化
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21H01479
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
神野 達夫 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (80363026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重藤 迪子 九州大学, 人間環境学研究院, 助教 (90708463)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | えびの地震 / 微動アレイ観測 / 地下構造モデル / 加久藤カルデラ / 阿蘇カルデラ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度の主な対象地域である宮崎県えびの市は、加久藤カルデラに位置し、1968年にMj6.1のえびの地震に見舞われている。この地震によって宮崎県えびの町(現・えびの市)と鹿児島県吉松町(現・姶良郡湧水町)を中心に大きな被害が生じた。えびの地震災害調査報告には、えびの町内でも地域によって全壊率30%以上の地域から無被害の地域まで被害が大きく異なっていたことが示されている。この地域の地盤は、主に軟弱なカルデラ堆積物による構成されているが、その中でも地下構造による地震動の地盤増幅特性の違いが地震被害の違いに影響を及ぼしたことが考えられる。そこで、えびの地震において被害が見られなかった地域に設置されているK-NETえびの周辺(EBN)とえびの地震による被害が大きかった地域(MSK)の2地点で微動アレイ観測を行い、S波速度構造の推定を行った。MSKはEBNに比べて地下構造の速度コントラストが大きく、より堆積層が厚いことが明らかになった。 また、MSKにおける微動データと、MSKと隣接しているにも関わらずえびの地震において被害が見られなかった川内川の対岸地域(TRU)において観測された単点微動データから、水平動と上下動のスペクトル比を求め、その卓越周波数の分布から、地盤増幅特性の空間的な変化についても検討を行った。その結果TRUからMSKにかけて地盤の1次卓越周波数は低周波数側に連続的に遷移することを明らかにした。 さらに、阿蘇カルデラの北西部の地下構造モデルを構築するために、KiK-net阿蘇観測点(KMMH04)周辺地域でも微動アレイ観測を行った。KMMH04の表層地盤はKMM004(K-NET一の宮、阿蘇カルデラ北西部)よりも軟弱であることや、基盤深さが北東部のKMM004から西に行くにつれて、一旦深くなるが、KMMH04では再びやや浅くなる傾向があることなどを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和3年度は、えびの市において、地震観測を実施する予定であったが、COVID-19感染症の拡大に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令により、県境をまたぐ移動に制限がかけられていた時期が長く続いたため、夏に予定してた現地での設置位置の確認ならびに設置に関わる交渉を行うことができず、数点における微動アレイ観測の実施に留まってしまった。現地での設置位置の確認は3月に実施することができたため、令和4年度早々に、設置に関わる交渉ならびに設置を完了し、地震観測を開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19感染症の感染状況については予断を許さないが、十分な感染対策を講じた上で、出来る限りの観測を実施し、研究対象地域の地下構造モデルを構築する予定にしている。そのためにも、感染状況が落ち着いている時期に機動的に観測を行えるように、綿密な観測計画を早めに準備することに注力すべきであると考えている。
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Research Products
(1 results)