2021 Fiscal Year Annual Research Report
A new air pollution environment assessment method using SER and Richardson number occurrence probability
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21H01498
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
義江 龍一郎 東京工芸大学, 工学部, 教授 (60386901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玄 英麗 東京工芸大学, 工学部, 助教 (20770564)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 大気環境アセスメント / 大気安定度 / 無次元濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ⅰ. 長期大気汚染観測データを用いたSER_C*の分析 ①気象庁の観測データに基づき、毎正時の大気安定度をパスキル安定度階級分類表によって分類した。②東京都環境局の大気汚染観測点での毎正時NOx 濃度を、代表風速、代表長さ等で基準化し、無次元濃度C*に換算した。③中立状態時の無次元濃度と非中立状態の無次元濃度との比SER_C*を求めた。④SER_C*を大気安定度(パスキル安定度)の関数として表した。 Ⅱ.大気安定度や都市形態を変化させた風洞実験 均一街区ブロックモデル内で点源(既往研究では線源)からガスを排出させた温度成層風洞実験を行った。実験気流はPIVを用いて測定し、ガス濃度は高応答濃度計を用いて測定した。より広い大気安定度の範囲をカバーするためには、できるだけ低い風速で実験を行わないといけないが、風速を低くしすぎると無次元濃度に対するレイノルズ数依存性が生じるおそれがある。そこでまず中立大気安定度条件において風速を変化させたPIV実験を行い、風速を0.4m/s程度まで低くしても、実験気流の無次元平均風速プロファイルや乱流統計量の無次元プロファイルが変化しない(レイノルズ数依存性が小さい)ことを確認した。次に中立大気安定度条件で濃度拡散実験を行ったが、風速を0.4m/sまで低くすると、無次元濃度が他の風速条件とは変化してしまった。それでも既往の研究での風速よりは半分程度の0.8m/sまで実験風速を低くすることはできた。 次に不安定大気条件で、実験気流をPIVで測定するとともに、濃度拡散実験を行った。既往の研究より風速を半分程度に落とすことができたので、大気安定度(バルクリチャードソン数)は4倍程度まで拡大させることができた。SER_C*の値は0.6程度となり、既往の研究結果の外挿延長線上にあることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
温度成層風洞、高応答濃度計、AD変換ボードが次々と故障し実験工程が遅れた。またより広い大気安定度の範囲をカバーするためには、できるだけ低い風速およびできるだけ大きな温度差(実験気流と床表面の温度差)で実験を行わなければならないが、それに伴い様々な問題が発生した。まず風速が低すぎると無次元濃度に風速依存性(レイノルズ数依存性)が生じてしまった。さらに風洞気流が熱い安定大気状態では、PIVのレーザー出力が低下したり、濃度計の出力電圧に温度依存性が生じてしまったため、安定大気状態では信頼性のある実験データを得ることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の温度成層風洞実験の問題を解決するために、まず実験気流の乱れを大きくしてレイノルズ数依存性を低減する。また安定大気状態の実験時には保冷剤を用いてレーザーや濃度計を冷却する。その上で、都市形態も変化させてガスの拡散風洞実験を行う。また今年度のガス排出源は、都心の開発の工事現場敷地を想定して面源とする(建設工事重機が敷地内で複数台稼働している状況を想定)。そして中立状態時の無次元濃度と非中立状態の無次元濃度との比SER_C*を求める。 その他の研究項目については、昨年度秋に入学した社会人博士後期課程学生の博士論文研究テーマとして実施することによって、より精力的に研究を推進していく。
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