2021 Fiscal Year Annual Research Report
Principle and Diversity of the Traditional Dispersed Villages in Japan
Project/Area Number |
21H01506
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菊地 成朋 九州大学, 人間環境学研究院, 特任研究者 (60195203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛島 朗 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (40625943)
黒野 弘靖 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80221951)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 散村 / 集落 / 水系 / 平野部 / 地理情報システム |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の令和3年度には,日本国内において「散居」といわれる地域の抽出と,郷土史や異分野も含めた先行研究や文献史資料の収集を行い,散居に関わる国内の研究動向の把握および成立要因に関する知見の整理を行なった。また,本研究で試みる「離散度」の指標化に向けて,地理学分野ほかの先行研究について情報収集を行なった。その上で,主要な散居地域である砺波平野・讃岐平野・簸川平野・児島湾干拓地・有明海沿岸域に関し,離散度の解析に必要となる地図資料(国土地理院 旧版地形図等)の入手およびデジタル化に向けたデータベース構築作業を開始した。加えて,今後のフィールドワーク対象地区の選定と資料収集,調査の実施方法の検討を行なった。 また,研究代表者及び分担者が過去に調査を行なった児島湾干拓地について,他地域に先行して離散型居住の観点からの再度詳細な検証作業を試み,論文投稿を行なっている(日本建築学会計画系論文集,令和4年9月号掲載,査読有)。 上記の一連の作業を行うにあたり,共同研究者間でオンラインによる打ち合わせを月1度の頻度で実施するとともに、視察を兼ねた対面での打ち合わせを新潟において実施した。ただし,新型コロナウィルス感染症拡大の影響で,当初予定していた現地調査の一部については,次年度に延期する必要が生じるなど,当初予定の一部を変更し実施することとなった。 繰越承認にもとづき,令和4年4月に簸川平野の実地調査を行い,奥出雲のたたら製鉄による鉄穴流しと簸川平野の形成の関係を理解し,令和4年5月には大井川下流域の実地調査を行い,洪水対策として生み出された独特の屋敷形態とその地域的な構成について把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者間でのオンライン打ち合わせを継続的に実施し,資料収集や情報共有など当初計画していた作業が予定通り実施できた面もあるが,新型コロナウィルス感染症の影響が長引く中で,現地調査におけるまん延防止等重点措置による行動制限もあり,当初予定していた現地調査の一部を次年度に延期する必要が生じた。そのため,執行時期の繰越しを申請し,その間,各研究者が次年度以降に実施するフィールドワークに向けた準備をそれぞれの研究機関で行ない,現地調査について次年度開始直後から取り組める体制を整えた。そのことにより,当初予定していた現地調査を令和4年度前半で完了することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の研究計画通り,1年目で収集した基礎資料をベースとして,2,3年目に主要な散居地域でのフィールドワークを実施予定である。ただし,突発的な新型コロナウィルス感染症の感染拡大などの可能性も継続して考慮しておく必要があることから,各地域の行政担当者や専門家との協力体制を重視し,限られた期間で効果的・効率的に情報収集が可能となるような体制を事前に整えるように努める。また,現地でしか入手出来ない資料(絵図や文書,台帳など)についても各地域との協力体制を活用し,遠隔での情報共有などを行うことで,研究計画の円滑な遂行に繋げたい。
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