2021 Fiscal Year Annual Research Report
導電性樹脂を用いた落雷保護層による耐雷複合材構造の創出
Project/Area Number |
21H01525
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横関 智弘 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50399549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 晃哉 山形大学, 有機エレクトロニクスイノベーションセンター, プロジェクト教員(助教) (10570864)
岡田 孝雄 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (50392858)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 導電性複合材 / 航空機構造材料 / 耐雷構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
耐雷構造として必要な高い導電性を発現するための導電性樹脂の開発を進めた。導電性ポリマー・ドーパント・硬化ポリマーの配合、混錬条件、硬化条件などを検討し、樹脂の導電性と硬化特性を評価することで、配合やプロセスの最適化を進めた。硬化反応制御を可能とする加熱プロファイルや粒子配合など、製造性と導電性を両立する導電性樹脂を見出し、1[s/cm]以上の高い導電性を発現する樹脂組成と成形プロセスを確立することに成功した。 また、検討した樹脂をCFRP(炭素繊維/エポキシ材)の上面にコーティングするための、プロセス検討を実施した。樹脂の粘度評価を行い、塗工条件や塗工後の硬化プロセスを検討し、塗工後の複合材の硬化特性、力学的特性、導電性の評価を実施した。樹脂材料単独のプロセスと塗工プロセスの違いにより、硬化プロセスの修正が必要となったが、高い導電性を発現可能なCFRP上への塗工プロセスを開発した。 複合材構造の耐雷性評価を行うため、検討したコーティング手法を用いてCFRPの上面に導電性コーティングを施し、150mm角のCFRPサンプルを製作し、SAE規格に準じた雷撃試験(修正A波形:瞬時の大電流付与)を実施した。高速度カメラの映像から、導電性コーティング層により、大電流がコーティング層を流れていることを確認でき、雷撃後サンプルの損傷観察を実施した結果、コーティング層のダメージは観察されるものの、母材であるCFRPの損傷が軽微に抑えられていることを確認した。導電性樹脂コーティングによる耐雷複合材構造の実現性について目処を得ることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規耐雷構造としてCFRP上に導電性樹脂コーティングを施すプロセスを開発し、導電性評価を実施することで、耐雷構造として十分な導電性を発現していることを確認した。当初の予定どおりの進捗であり、導電性目標も達成しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
導電性樹脂の高導電化を達成したが、より簡便・大量に導電性樹脂の作製を可能とするため、工業的な装置(ビーズミル装置など)を用いての製作を検討するとともに、最適な処理条件を探索していく予定である。 また、航空機構造として、HotWet(高温・高湿)での特性発現も重要であり、2022年度は、導電性樹脂及びその複合構造のHotWet特性を評価することで、耐雷構造として優れた性能を示すかを評価する計画である。必要に応じて、樹脂配合やプロセスの改善を行いながら、HotWet特性の向上策も検討する。2023年度以降には耐油特性など、航空機構造への適用に必要な性能評価を実施しながら、実証していく計画である。
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Research Products
(7 results)