2023 Fiscal Year Annual Research Report
領域有限要素法と接続部材反力推定を用いた船舶全体構造の最適化に関する研究
Project/Area Number |
21H01546
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北村 充 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 特任教授 (40195293)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 剛大 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (00802860)
野波 諒太 呉工業高等専門学校, 機械工学分野, 助教 (70849562)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 領域有限要素法 / 構造最適設計 / 船体構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
深層強化学習の中でも広く用いられているDDQNをベースとして,大型構造物の板厚と補強材の形状を同時に,また,効率的に最適化計算を実施するために,次の2つのアルゴリズムを検討した.1)エリート保存:エリート保存を用いることにより効率的に最適解に到達することを可能とした.2)設計変数の上下限値の処理アルゴリズム:本アルゴリズムの導入により,従来のDDQNで発生する無駄な計算を削減し,最適化プロセスにおけるFEM計算回数を低減した.これら2つの提案アルゴリズムを組み込んだ構造最適化手法が大型構造物の最適化に対して有効な手法であることを確認した. 反復法における計算時間削減効果の向上のため,次の2つを検討した.1)スケーリング:解析対象の大規模化による計算効率の低下防止を目的として,各種スケーリング方法を検討した.コーディングが容易な対角スケーリングを導入することにより,マトリックスの固有値分布が改善され,解の収束性が向上することを確認した.2)応力評価要素の選別:領域有限要素法のアルゴリズムにおいて,応力評価のプロセスで大きな計算負荷が発生する.応力評価を実施する要素を特定し,それに関係する節点の縮約順序を終盤に配置することにより,計算時間を短縮できることを確認した. 簡易的な3次元組板構造物の解析モデルを作成し,これまでに構築した構造解析手法と最適化手法を適用した.これらが適切に機能することを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
深層強化学習の開発と大型構造物の最適化への適用が可能であることが確認できたため.
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Strategy for Future Research Activity |
1.領域有限要素法の高速化:設計案の評価と設計変数の更新において,各設計変数がカバーするグループ内の最高応力値を求める必要がある.領域有限要素法の応力算出プロセスではバックプロバゲーション法を使用するため,応力評価が不必要な要素にも多大な計算時間とメモリーを消費してしまう.この問題点を解決するために,早い段階で当該要素を検出することが重要であり,効率的なその実現方法を検討する. 2.船体構造最適化システムの構築と検証:本年度までに研究した領域有限要素法,部材版力推定法,強化学習最適化を統合した船体構造最適化システムを構築し,計算速度,最適解の精度を以下の手順A), B), C)で確認する.手順A) 過去に計算事例のあるハッチカバーを対象として,板厚・鋼板材料・補強材料を設計変数とする最適化を実施する.手順B) バルクキャリアの一区画を対象として,板厚・鋼板材料・補強材料・補強材間隔を設計変数とする最適化を実施する.手順C) 区画数を増やしながら,最終的に船体全体構造を対象として,板厚・鋼板材料・補強材料・補強材間隔を設計変数とする最適化を実施する.そのために,関連する造船所を訪問する. 3.最適化プロセスの並列化:これまでに検討してきた最適化プロセスは並列化計算が可能である.対象構造物が大規模になるほど,並列化の効率は高まり,その使用の可否は重要になる.上記の船体構造最適化システムの構築と並行して,最適化プロセスの並列化の取り入れを検討する.
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