2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Pedestrian Flow through Bottlenecks: Unified Analysis on Egress, Inflow, and Queueing Processes
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21H01570
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳澤 大地 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (70611292)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 群集 / ボトルネック / 退出 / 流入 / 待ち行列 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021, 2022 年度の2年間は、コロナウイルスの感染拡大防止の観点から大規模な群集実験を行うことは困難であったが、少人数の歩行実験を行うことができた。また、シミュレーションや理論解析、過去の実験データの詳細な解析により、以下のような成果を得ることができた。 本研究の5つの対象のうちの1つである「ボトルネックの数の影響」に関しては、複数のボトルネックが直列に繋がっている場合に有効な流入のコントロール方法を明らかにすることができた。具体的には、ボトルネックで人流が律速してしまうような場合は、入口での流入を制限することにより、ひとりひとりの通過時間を増加させることなく混雑度を減少させ、より快適な移動を実現できることが分かった。 「ボトルネック手前の構造や障害物の影響」に関しては、人が障害物を回避しボトルネックを通過して退出するまでの移動において、何が人にストレスを与えているかを明らかにした。具体的には、人はそれぞれ「これくらいの速さで歩きたい」という理想があり、そこからの乖離がストレスとなっていることが分かった。そのため、女性よりも男性、高年齢者よりも若年者が、理想の歩行速度が大きいためにストレスを感じやすいことが調べられた。 また、複数のボトルネックを回るシステムにおける目的地の選択方法の影響や、ボトルネック手前における有効な整列方法を明らかにすると同時に、ボトルネックが散在する流れをモデル化するための新たな数理手法を開発することもできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の対象であるボトルネック前の経路の影響、ボトルネックの数の影響に関しては、シミュレーションと理論解析によりボトルネックの影響を減少させる群集のコントロール方法を明らかにすることができた。また、ボトルネック手前の構造や障害物が人の歩行に物理的・心理的に与える影響を、これまでの実験データを詳細に解析することにより解明した。 さらにボトルネック背後の部屋の大きさの影響に関しては、昨年度、少人数の歩行実験を行うことができた。そのため本年度は、この実験結果を基にして効率的に大規模な実験を行い、少人数と大人数の場合の違いなどを明らかにすることができる。 従って、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルス関係の制限もほぼ解除されたため、今後は大規模な歩行者実験を実施する予定である。昨年度、少人数の実験を行った「ボトルネック背後の部屋の大きさの影響」では、ボトルネック背後の密度がボトルネックの人流に大きな影響を及ぼすと考えられるため、大人数の場合は少人数の場合に比べてひとりあたりの通過に時間がかかるようになると考えられる。また、後半の通過者ほどより時間がかかるようになると予想される。そのため、今年度大人数の実験を行い、昨年度の少人数の結果と比較することにより、ボトルネック背後の部屋の大きさから決まる密度の影響を定量的に評価することができると考えている。 また、同じく本研究の5つの対象のうちの1つである「ボトルネックの数」の大人数の実験も予定している。大人数の人が複数のボトルネックから1つを選択して通過する際には、そのボトルネックまでの距離や混雑(待ち人数)を見ていることが多い。その結果、ボトルネックの利用率に差が出てしまう場合もある。本研究テーマではボトルネック前の構造や見通しを変えながら、それぞれのボトルネックの利用率がどのように変化するか調べ、ボトルネックの利用率を均等にする方法を考案する。 上記の実験はボトルネックの並列繋ぎと言えるが、ボトルネックの直列繋ぎに対応する実験も予定している。直列繋ぎされている複数のボトルネックの強さ(混雑)が異なる場合、弱いボトルネックでの混雑を増やした方が強いボトルネックでの混雑が減り、総合的には少ないストレスで通過できるというシミュレーション結果も出ているため、これを実際の人による実験で明らかにする。
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Research Products
(39 results)