2021 Fiscal Year Annual Research Report
断層粗さのマルチスケール測定:断層はどの程度デコボコしているのか
Project/Area Number |
21H01585
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武多 昭道 東京大学, 地震研究所, 助教 (30589271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 由弦 神戸大学, 理学研究科, 教授 (10435753)
山崎 勝也 中部大学, 工学部, 助教 (40773578)
池田 大輔 神奈川大学, 工学部, 助教 (60584258)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 断層 / 断層粗さ / ミューオン / 透視 / 宇宙線 |
Outline of Annual Research Achievements |
掘削孔からミューオン観測を行うための検出器開発、及び、房総半島での観測地点の調査を行った。 検出器開発については、主要な構成要素の開発を全て終えることができた。耐圧容器、耐圧コネクタ、シンチレータ、光検出器、電子回路の開発は完了している。耐圧容器と耐圧コネクタを製造し、岐阜県飛騨市跡津川断層の掘削孔内部での長期試験に着手した。耐圧容器はコストダウンのため、市販の上水道管を改造して製作した。耐圧コネクタも、コストダウンのため、自ら設計製作した。シンチレータと光検出器も製造が終了しており、組立作業を既に開始している。シンチレータの組立作業は、直径1.5mm長さ1mの穴の中に、直径1mm、長さ1.1mの波長変換光ファイバーを挿入して接着し、それに加えて光学グリスを気泡が入らないように挿入するという、非常に困難な作業であるが、光学グリスを真空容器に入れたまま、遠心分離にかけ、さらに真空容器中でグリスをシンチレータに挿入するという方法で解決した。遠心分離器は、コストダウンのため、市販の安価な洗濯機を使用した。電子回路はプロトタイプの製造と動作試験が完了しており、観測に使用する電子回路の製造の準備を完了させることができた。観測に用いる電子回路(48チャンネルFlashADC+TDCシステム)は、既製品が存在しないため、研究者自らで設計を行った。 房総半島での観測地点調査を10地点、2度に分けて行った。観測の容易さ、得られるデータの品質、電源インフラ・通信インフラ整備が可能か否か、等を総合的に評価し、観測地点を4地点に絞り込んだ。観測候補地は全て山間部であり、商用電源または太陽電池による電力確保が難しい場合があり、ミューオン観測に適した地点を探すことは容易ではなかったが、商用電源または太陽電池いずれかを用いれば観測が可能な、ミューオンによる断層透視に適した地点を決定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標としていた検出器開発、検出器の耐圧試験、掘削孔候補地の調査の大半を終えることができている。耐圧試験は、当初年度内に終える予定であったが、豪雪のため検出器の引き上げを行うことができなかった。一方で、検出器の組立作業は当初予定よりも早く進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、検出器を完成させて、岐阜県飛騨市の跡津川断層を貫通する掘削孔内部でミューオンデータ取得を行う。また、千葉県館山市内に3本ないし4本の掘削孔を掘削し、断層コアの採取と、ミューオン観測のための環境整備を行う。 2023年度は、断層コアの評価と解析、及び、掘削孔内部からのミューオン観測を行う。 2024年度は、ミューオン観測を継続しつつ、ミューオンデータ解析、ミューオンによる断層姿勢の測定と、複数の観測量を組みあわせた、断層粗さの評価を行う。
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Research Products
(2 results)