2022 Fiscal Year Annual Research Report
高分解能SAR画像とシミュレーションに基づく橋梁構造物の早期被害把握の革新
Project/Area Number |
21H01598
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Research Institute for Earth Science and Disaster Prevention |
Principal Investigator |
山崎 文雄 国立研究開発法人防災科学技術研究所, 災害過程研究部門, 主幹研究員 (50220322)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 ウェン 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (60733128)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 合成開口レーダ / 橋梁モデル / SARシミュレーション / 球磨川洪水 / 橋梁流出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,1) 橋梁の後方散乱モデルの作成と評価,2) SARシミュレーションによる橋梁モデル構築の2項目を前年度に引き続き実施した.1)に関しては,様々な橋梁を含む高分解能SAR画像の収集を継続し,周波数,偏波,入射角,軌道(飛行)方向などの撮影条件と橋梁の形状寸法,材質,構造形式,水面からの高さなどとの関係を検討した.これまでに収集した首都圏や三陸沿岸域の高分解能SAR (TerraSAR-X, Pi-SAR-X2)画像に加えて,ALOS-2 PALSAR-2による九州の阿蘇地域,球磨川,筑後川,和歌山県の紀の川などの多時期SAR画像を収集し,後方散乱モデルを作成するとともに,SAR画像データベースの作成を進めた. 2)に関しては,Ray Tracing法を用いたオープンソースのSARシミュレータを用いて,衛星SARや航空機SARの実橋梁データの撮影条件でのシミュレーションSAR画像の作成を行った.既に実SAR画像を所有している橋梁のシミュレーションモデルを作成し,観測SAR画像との比較を行い,シミュレーションの有効性やパラメータの設定法を検討した.このほかに,2022年度は洪水などの大きな自然災害は発生しなかったが,2016年熊本地震で崩落した阿蘇大橋の再建現場などの現地調査を行うとともに,再建された橋梁の高分解能SAR画像を収集した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はコロナ禍からようやく元の社会生活に戻る途上であった.前年度まで,オンラインのみであった国内学会や海外での国際会議にも対面で参加することができ,成果を発表し,議論を行うことができた.また,熊本地震前と地震後の複数時期の航空レーザ計測データを入手することができ,今後これらを用いて,崩落した阿蘇大橋や,新設された新阿蘇大橋のSARモデルを作成する予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年2月にトルコ中部でマグニチュード7.8の地震が発生し,建物やインフラ施設に甚大な被害が生じた.日本のALOS-2衛星などが多数のSAR画像を撮影しているため,これらを収集し,地殻変動量の推定,道路インフラや市街地被害の把握を今後進める予定である.SARによる橋梁のモデル化に関しては,球磨川,紀ノ川,阿蘇白川などの航空レーザ計測データを入手したので,これらに基づく橋梁のSARモデルの作成を進める予定である.
|