2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H01612
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井上 和俊 東北大学, 材料科学高等研究所, 准教授 (60743036)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馮 斌 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (20811889)
川原 一晃 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (90869570)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 粒界 / 原子構造 / 酸化物 / 走査透過型電子顕微鏡 / 第一原理計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属・酸化物等から構成される機能材料は多結晶体として用いられ, 種々の格子欠陥が材料の機能特性に多大な影響を及ぼすことが知られている. 特に粒界構造を系統的に記述することは重要であるが, 傾角粒界近傍の原子構造は従来二次元構造ユニット配列で記述されてきた. 一方, 結晶の三次元構造は特定の多面体によって充填されることが知られているが, 粒界近傍を充填する場合, 母結晶の多面体を歪ませた多面体の他に, 粒界由来の多面体が存在する. 本研究では, 面心立方金属の[001]傾角・捩り粒界の幾何学モデル, および粒間並進モデルを系統的に構築し, 第一原理計算により各構造の粒界エネルギーを求めた. また, 剛体球充填モデルを採用し, 原子位置についてのボロノイ分割に基づき, 各ボロノイ頂点に挿入しうる球の最大半径(ボイド半径)を求めた. 各構造における最大のボイド半径と最安定構造の粒界エネルギーを比較した結果, それらがよく相関することが分かった. 剛体並進により系全体のボイドサイズを平均化し, さらに局所的に原子位置を最適化すること最安定構造が得られることが推測される. また, 対応方位関係は回転軸と回転角を与えることによって決定するが, 異なる回転軸・回転角から同 一の粒界を構成できる場合があるため既存の分類法では重複が生じる. 本研究では, 整数論的手法を用いて対応方位関係における整合結晶面を決定することで, 任意の対応粒界に適用出来る粒界分類法を構築した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、ボロノイ解析を用いて任意の粒界における空隙の検出を可能にし、粒界エネルギー等の物理量との相関を明らかにした。また、任意の対応粒界に適用できる粒界分類法を構築した点において、おおむね順調に進展していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた結果をより精密化し、傾角捩り粒界の原子構造とボイド分布・粒界エネルギーの相関性を明らかにする。また、酸化物のランダム原子配列について粒界構造ユニットモデルの観点からの構造記述、および粒界近傍における不純物偏析メカニズムについて研究を進める。とくに第一原理フォノン計算を併用し、予測の精度を向上させる。
|
Research Products
(8 results)