2021 Fiscal Year Annual Research Report
液体膜上の固体付着・滑落性同時制御によるメンテナンスフリー微小固体捕集技術
Project/Area Number |
21H01643
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
天神林 瑞樹 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (20815980)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉手 亮多 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究拠点, 独立研究者 (70812759)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 撥水 / 液体膜 / ナノ粒子 / 捕集膜 / メンテナンスフリー |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度はPhase1:液体膜エンジニアリングによる濡れ・流動性制御および、Phase2:力学測定による付着・摩擦メカニズムの解明に着手した。・Phase1では液体膜を熱力学的に安定な状態で形成する方法に取り組んだ。様々な不揮発性液体を超親液性下地膜に滴下することで液膜を形成し、その熱力学的安定性を表面張力・接触角測定により評価した。その結果、空気中・液体中で液膜が安定して形成する条件が、界面エネルギーおよびハンセンパラメータによって判定できることを見出した。この知見をもとにして、撥水・撥油性を示す機能性液体膜を形成するコーティング溶液を開発した。・Phase2では液体膜・固体界面の状態をIn-situ観察しながら、摩擦力・付着力を測定する系の開発が求められる。そこで界面の状態をIn-situ観察するための高速反射干渉顕微鏡法を組み上げた。サブミクロンの高さ分解能で固液界面の形状を1000fpsの時間分解能でその場観察することに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度はPhase1の完了を目指した。しかし、液体膜の表面物性制御に関しては、コロナ禍での在宅勤務などでスクリーニング実験を効率的に行うことができず、検討が不十分(達成度60%)であったため、この点では遅れが出た。 しかし、代わりにPhase2の実験を前倒しで実行した。界面の状態をIn-situ観察するための高速反射干渉顕微鏡法を組み上げた。これは2022年度に行う実験の40%に相当する。 Phase1とPhase2は順不同な研究フェーズである。 以上より、当初の計画と実験フェーズにずれは生じたが、研究計画全体での達成度で見ると当初の予定通りであり、おおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は引き続き液体膜の濡れ性・流動性制御の検討、および付着・摩擦メカニズムの解明に着手する。(Phase2として)液体表面に対する固体の物性に対する付着力・摩擦力・界面形状をリアルタイムでモニタリングするために光学系を組み上げる。2021年度に当初の予定よりも早く高速反射干渉顕微鏡法の大枠を作製することができたため、毛細管先端にターゲット固体物質を想定した球形プローブを固定し、表面エネルギーを制御する。また、2022年度はPhase1で未達成のスクリーニング実験を継続して行う。具体的には母体となる高分子液体に対して微粒子添加剤や可塑剤を加え、混合濃度を調整することでそのレオロジー特性を制御し、濡れ性・流動性を調整した液体膜表面を形成する。研究分担者はそのレオロジー特性の測定に着手する。得られた知見とPhase2のデータから最適な表面設計の指針を確立する。
|