2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of photo-functional property of oxyhydroxide and application development to environmental purification and energy generation
Project/Area Number |
21H01657
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
勝又 健一 東京理科大学, 先進工学部マテリアル創成工学科, 准教授 (70550242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 さやか 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 開発本部マテリアル応用技術部材料技術グループ, 副主任研究員 (40579794)
山田 哲也 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (50823142)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | オキシ水酸化鉄 / 光触媒 / フォトフェントン反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
常圧・常温・空気雰囲気・印加電圧無しの条件下において、鉄錆の一種であるオキシ水酸化鉄が光照射下においてメタノール等の有機物を電子源として水から水素を取り出せることがわかった。しかし、詳細な機構解明には至っていない。本研究では、低環境負荷の温和な条件下で合成可能なオキシ水酸化物の新しい光機能性に着目し、その機構を解明することで、環境浄化(廃液浄化)とエネルギー生成(水素生成)を兼ね備えた材料開発を目的とする。 2021年度は、メタノール水溶液にオキシ水酸化鉄を懸濁させ、3種類の光源(Hg-Xeランプ、Xeランプ、Xeランプで300nm以下カット)を72時間照射した場合の気相および液相中の生成物について調査した。Hg-Xeランプを用いた場合、気相中に水素、メタン、一酸化炭素が生成し、気相中の酸素量が減少した。一方、Xeランプを用いた場合、水素と一酸化炭素の生成がみられたが、メタンは生成しなかった。Xeランプで300nm以下カットした場合は水素、メタン、一酸化炭素の生成がみられなかった。液相中では、Hg-XeランプおよびXeランプを用いた場合、ギ酸と過酸化水素が生成したが、Xeランプで300nm以下カットするとギ酸と過酸化水素の生成がみられなかった。以上より、水素の生成には220~300 nmの光が必要であること、生成量は220~260 nmの光を含む方が多いことがわかった。また、過酸化水素の生成から溶液中に存在している鉄イオンによりフェントン反応とフォトフェントン反応が起こっていることも明らかになった。またギ酸と過酸化水素の生成についても300 nm以下に光が重要であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2021年度の研究計画としたオキシ水酸化鉄を用いたメタノール水溶液からの水素生成について、照射光の波長依存性を調査するという項目について、気相だけではなく液相中の生成物について十分な成果が得られたこと、そして液相中で過酸化水素が生成していることを明らかにし、外部から過酸化水素を加えることなくフォトフェントン反応が起きていることを明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
オキシ水酸化鉄が光照射下においてメタノール等の有機物を電子源として水から水素を生成できた現象は、オキシ水酸化鉄だけではなく、オキシ水酸化物に特有の現象であると考えており、申請者が立てた仮説「光励起によって生じた電子による自己還元によって最表面の局所的に不安定な低価数の化合物が形成され、それが水素生成に寄与し、水素生成後は安定な価数(元のオキシ水酸化物)へと戻る一般的な光触媒の定義とは異なる機構」を実証していくことが、本研究の目的である環境浄化(廃液浄化)とエネルギー生成(水素生成)を兼ね備えた材料開発を実現するために重要である。 2022年度は、オキシ水酸化鉄の気相と液相の反応物質の分析を継続するとともに、液相での有機物分解を促進できるような反応システムの構築に取り組む。 オキシ水酸化鉄の合成と構造解析:共沈法や水熱法といった溶液プロセスを用いてオキシ水酸化鉄、それぞれの多形を区別して単相で合成できる条件を見つけ出す。次に、合成した試料および光反応の途中や光反応後の試料についてX線回折装置(XRD)、示差熱重量分析装置(TG-DTA)、X線光電子分光法(XPS)、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR)、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)などで合成したオキシ水酸化物について構造解析を行う。 光電気学測定法をもちいた表面反応の解析:光電気化学的な測定から光照射時のオキシ水酸化鉄の最表面の酸化還元反応(低価数への還元と元の価数に戻る酸化)を調査する。 模擬有機廃液を用いた廃液浄化と水素生成能の評価:オキシ水酸化鉄の酸化分解反応を利用して、色素等の脱色試験より浄化能について評価し、最適な浄化システムの構築のための指針を得る。
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