2022 Fiscal Year Annual Research Report
Resin reinforcement ability of surface modified cellulose nanofiber with polydopamine
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21H01705
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長嶺 信輔 京都大学, 工学研究科, 准教授 (30335583)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
引間 悠太 京都大学, 工学研究科, 助教 (50721362)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | セルロースナノファイバー / ポリドーパミン / 樹脂補強フィラー |
Outline of Annual Research Achievements |
セルロースナノファイバー(CNF)の樹脂補強フィラーとしての性能,汎用性を高めるための表面修飾法の開発を行っている。具体的には,様々な固体に接着性を示すポリドーパミン(PDA)によりCNF表面をコーティングし,さらにPDA層に種々の官能基を導入する。今年度はオクタデシルアミン(ODA)を用いた官能基導入による表面修飾を対象とし,官能基導入速度の温度依存性の検討,および反応機構を記述するモデルの構築を試みた。 PDA修飾CNFの分散液にODAを添加し,所定の温度(30~60℃)で反応を進行させ,ODA濃度の経時変化を追跡した。ODA濃度は実験初期の10時間程度で迅速に減少した後,数百時間にわたり緩やかに減少するという2段階の挙動を示した。この経時変化を説明するために,ODAのPDA層表面への平衡吸着および吸着したODAの付加反応から成るモデルを構築した。このモデルにより,実験で見られた2段階のODA濃度変化を良好に表現することができた。またモデルを実験結果にフィッティングし,吸着平衡定数,付加反応速度定数を評価したところ,それらの温度依存性がファントホッフの式,アレニウスの式に従うことを確認でき,モデルの妥当性が示された。 また,マイクロカプセルの高強度化を目的とし,PDA修飾CNFのカプセル殻材への利用についての研究を行っている。蓄熱材料への応用を想定し,室温で固液相転移し融解潜熱の大きいヘキサデカン(HD) を芯物質として選択した。CNFの分散液中でのHDの超音波乳化によりマイクロカプセルを作製した。CNFとHDの重量比により粒径の制御が可能であることを確認した。また,PDA修飾CNFを殻剤に用いることで,ジアルデヒドによる架橋によりファイバー間空隙由来の細孔を低減し,カプセルの密閉性を向上できる可能性が示された。 以上の研究結果の一部は化学工学会第88年会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ODAを用いたPDA層への官能基導入機構についての実験を行い,機構を良好に表現できるモデルを構築した。このモデルは官能基導入の条件選定に活用できると考えている。また,PDA修飾CNFの殻剤としての利用によるマイクロカプセルの強度向上に関する研究にも着手している。以上より概ね順調に進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したに官能基導入機構モデルに基づき,最適な官能基導入条件の探索を進めるとともに,繊維径の異なるCNFを用いたモデルの妥当性の検証を行う。また,表面修飾CNFから成るシートを作製し,樹脂板の接着性,親和性を引き剥がし試験により評価する。得られた接着性を表面修飾CNFの樹脂への分散性を表す指標とし,樹脂補強効果との関連性について検討する。 PDA修飾CNFを殻材とした蓄熱材マイクロカプセル開発に関して,熱分析により蓄熱材料としての性能評価,およびカプセルの強度試験を実施する。また,カプセル表面への官能基導入による溶媒,樹脂への分散性の向上について検討する。
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