2022 Fiscal Year Annual Research Report
Atomic-scale structural analysis of nanodevices under actual working environment
Project/Area Number |
21H01814
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 秀人 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (00452425)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ナノデバイス / 電子顕微鏡 / 原子スケールその場観察 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノ材料が気体中において加熱や電圧印加や電子線照射によって構造変化する過程を環境制御型透過電子顕微鏡(ETEM)で原子スケール観察すると同時に、ナノ材料の電気伝導特性を測定することを可能とするシステムの構築に取り組んだ。ナノ材料への電圧印加と電気伝導測定を可能にする電極と配線を備えたパターン基板を微細加工技術(フォトリソグラフィー、スパッタ蒸着、収束イオンビーム蒸着)を駆使して作製した。実際に、パターン基板を用いて酸化タングステンナノワイヤと白金ナノワイヤのTEM観察と電気伝導特性測定に成功した。また、酸化タングステンナノワイヤのガス中における表面構造の変化を原子スケールでETEM観察した。酸化タングステンナノワイヤの結晶構造は六方最密構造であり、側面は{010}面である。初期状態で{010}表面には厚さ約2 nmのアモルファス層が存在しており、このアモルファス層は水素、酸素ガス中で電子線を照射することで徐々に結晶化することを発見した。電子線の強度を大きくすると結晶化が速く進行した。結晶化した表面層の結晶構造はナノワイヤと同じ六方最密構造であり、ナノワイヤに対してエピタキシャル成長した。真空中に戻してTEM観察すると、ナノワイヤの表面はアモルファス層に変化した。アモルファス層が炭素のコンタミネーションであった場合、水素、酸素ガス中で電子線照射することで結晶に変化するのではなく除去されるはずである。よってアモルファス層はタングステン酸化物であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの影響や主力装置の故障の修理に時間を要することもあったが、着実に研究を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
金属や酸化物のナノ材料が気体中において加熱や電圧印加や電子線照射によって構造変化する過程を環境TEMで原子スケール観察すると同時に、ナノ材料の電気伝導特性を測定することで、その構造と電気伝導特性の関係を明らかにすることを目指す。観察・評価対象のナノ材料として、パラジウムと白金の金属ナノワイヤを電子線リソグラフィーとスパッタ蒸着によって作製する。また、酸化タングステンや酸化スズや酸化亜鉛の金属酸化物ナノワイヤは電子線リソグラフィーとスパッタ蒸着による作製に加えて、市販のナノワイヤの利用も検討する。これらのナノワイヤは水素や一酸化炭素ガス中で電気抵抗が大きく変化することからガスセンサーとして動作することが知られている。水素や一酸化炭素ガス中でセンサーとして動作している状態で、各種ナノワイヤをETEM観察することにより原子スケール構造を明らかにし、さらに電子エネルギー損失分光法により電子状態を調べる。ガス中と真空中の各種ナノワイヤの原子スケール構造・電子状態を比較することで、センサー動作(抵抗値の変化)の原因を明らかにし、センサー動作原理に関する知見を得る。特に、ナノワイヤの表面および内部の酸化・還元状態に着目し研究を進める。
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Research Products
(2 results)