2021 Fiscal Year Annual Research Report
データサイエンス技術を活用した二次元アモルファス材料における熱物性の理論研究
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21H01816
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
南谷 英美 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 准教授 (00457003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下出 敦夫 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 助教 (20747860)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | トポロジカルデータ解析 / パーシステントホモロジー / アモルファス / 熱伝導率 |
Outline of Annual Research Achievements |
アモルファス構造を取る典型的な物質として、SiとCに着目して研究を進めた。層状物質に着手する前に、まず安定で先行研究も豊富である3次元バルクでのアモルファス構造を分子動力学法によるメルトクエンチシミュレーションによって作成した。アモルファスSiについては、古典分子動力学法を、アモルファスCについては第一原理分子動力学法を用いた構造作成を行った。得られた構造は先行研究と特徴が合致した。 それらのアモルファス構造に対して、熱伝導率のシミュレーションを行った。熱伝導率の計算にはAllen-Feldman理論を用いた。様々な計算手法との組み合わせを可能にするために、Allen-Feldman理論のシミュレーションコードの開発も行った。 結果として、アモルファス構造作成時の冷却レートや、密度と熱伝導率の関係が明らかになった。また、これら冷却レートや密度と構造の乱れの関係を、パーシステントホモロジー及びその逆解析によって見出した。いずれのパラメーターもSiやC原子が作るリング構造のサイズに影響を及ぼすことが判明した。さらに、構造の特性と熱伝導率を結びつける回帰モデルを、パーシステントホモロジー解析の結果を用いて作成できることを示した。 これらの成果を2本の論文にまとめた。アモルファスCについての論文はアクセプトされ、近日中に出版される予定である。アモルファスSiについての論文は現在査読中であるが、プレプリントをArxiv上で公開している(https://arxiv.org/abs/2107.05865)。 また、層状物質に同様の手法を応用するために、現在、アモルファスグラフェン構造の作成や、その物性評価手法の検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに初年度でアモルファス構造の作成法や評価の枠組みについて一定の知見を得ることができたため、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
3次元バルクで一定の成果を上げることができつつあるので、層状物質に対しての展開をすすめる。層状物質のアモルファス構造作成では、メルトクエンチシミュレーションでは困難を生じる可能性があるので、モンテカルロ法など、別の手法のシミュレーションコードの整備も行う。 また、バルクの熱伝導率の研究をすすめる中で、低周波数の振動モードが、フォノン的な特性を保っているか、それとも強い散乱のためフォノンのような周期性を失いフォノンとは別の描像で熱を伝導しているかの違いが重要であることが判明した。この2つの判別や、2つの異なる特性をもったモードが、トポロジカルデータ解析によって見いだされた特徴的な局所構造にどのような応答をするのかを、アモルファスグラフェンを具体的なターゲットとして研究をすすめる。
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Research Products
(2 results)