2022 Fiscal Year Annual Research Report
コヒーレンスの伝搬に基づくディープラーニングによる散乱媒質のイメージング
Project/Area Number |
21H01849
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
渡邉 歴 立命館大学, 理工学部, 教授 (90314377)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | ディープラーニング / 散乱イメージング / コヒーレンス / メモリ効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
散乱媒体あるいは拡散媒体は、光の散乱により画像の品質を著しく低下させるため、光を用いて散乱体の奥の物体や曲がり角の奥など直接見えないところにある物体の可視化は難しいとされてきた。ディープラーニング(深層学習)を用いてスペックル画像と元画像の統計特性を学習し、画像の再構成を行うことが可能となってきている。本研究では、物理的なメカニズムを明確にすべく、光コヒーレンス理論・光伝搬理論を基盤とし、光の伝搬を考慮するアルゴリズムを構築する。また、そのアルゴリズムに基づくディープラーニングにより、画像を再構成するとともに、スペックル画像と元画像の統計特性を明らかにする。 本年度は、被写界深度の拡大、分光イメージングと波長推定、脆弱性とロバスト性の検討を実施した。分光イメージングでは,光源にLEDを用いて、モノクロカメラで撮影されたスペックル画像より中心波長が変化するカラー物体の画像再構成と波長推定を実現した。 ディープラーニングは敵対的サンプルやデータセットに対する攻撃であるデータ汚染攻撃により脆弱性を示すため、光源にレーザーを用い、トリガー画像によるデータ汚染攻撃の影響について調査した。 ロバスト性を向上するために,媒体を移動させた場合のロバスト性に影響する要因について検討した。散乱媒体を光軸に対して垂直な方向に移動させてスペックル画像を取得し、自己相関を計算した。ディープラーニングにおける学習にスペックル画像を用いる手法と自己相関画像を用いる手法で画像再構成し、自己相関画像を用いる手法が高いロバスト性を有することを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ディープラーニングを用いた散乱イメージングとして、すりガラスの奥にある物体の可視化において、ディープラーニングにおける学習にスペックル画像を用いる手法、自己相関画像を用いる手法、2つを組み合わせた手法で画像再構成し、それぞれの手法の特性と再構成精度、ロバスト性に関する知見を得た。スペックル画像のスペクトルメモリ効果の範囲内では波長が変化しても再構成精度は維持されることを実験により示した。また、学習する波長を増やすことにより、広帯域での画像を再構成することができた。さらに、スペクトル帯域を制限し時間コヒーレンスと再構成精度の関係を調査した。時間コヒーレンスと空間コヒーレンス、さらにスペクトルコヒーレンスを調査することにより、拡散板越しのイメージングにおいて、ディープラーニングを用いた画像再構成により、スペックル画像と元画像の統計特性の知見を得ている。さらに微弱光検出のための光学系を試作した。
|
Strategy for Future Research Activity |
コヒーレンスと再構成精度の関係を調査し、時間、空間、スペクトルコヒーレンスと再構成精度の関係を引き続き追及する。物体として、透過型空間光変調素子を用い、振幅物体としているため、反射型空間変調素子を用いることにより、反射強度物体ならびに位相物体の再構成を行う。さらに、手書き文字以外の複雑な物体の再構成、様々な波長での再構成ならびにマルチスペクトル画像の再構成を進めていく。ロバスト性の知見が得られたため、自己相関画像を用いる手法により、画像やディープラーニングモデルへの攻撃に対する影響、環境光に対する影響、広帯域光源を用いた場合の影響、微弱光での再構成精度を調査する。散乱媒質としてすりガラスを用いているが、光ファイバーなどより複雑な散乱媒質の実験を進めていく。
|
Research Products
(9 results)