2021 Fiscal Year Annual Research Report
つる巻き状分子不斉を発現する環状および非環状集合体の機能創出
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21H01920
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森 敦紀 神戸大学, 先端膜工学研究センター, 教授 (90210111)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | つる巻き / 分子不斉 / つる巻き状分子ワイヤー / 金属・有機構造体 / キラリティ識別 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,つる巻き状分子不斉を有する(ヘテロ)芳香族ビアリールを直鎖状または大環状に結合形成させ 1.つる巻き状分子不斉ワイヤー 2.つる巻き状分子不斉金属・有機大環状構造体を設計,合成して機能創出を図るものであり,分子ワイヤー状のオリゴマー,ポリマーではその自発的または外部刺激に誘起されるキラリティ収束を利用した分子スイッチング,大環状構造体においては金属錯体がホスト分子として創るキャビティを利用してゲスト分子のキラリティ識別を検討し,つる巻き状分子不斉化合物を集合体として利用する新学理の構築をめざす。 2021年度の研究においては,各種つる巻き状分子の合成および,簡便な合成方法の確立をめざし種々の合成研究を遂行した。従来のヘテロビアリールから構成されるつる巻き分子に加え,ヘテロ原子をもたないつる巻き状ビアリールとしてビフェニルから構成される新規なつる巻き状分子の合成を達成した。さらに,つる巻き部位を二つ有するダブルつる巻き状分子の合成にも着手し,ダブルつる巻き状ビフェニルが合成できる可能性も一部明らかにすることができた。 また,つる巻き状分子の鎖状の複数個連結した,つる巻き状分子ワイヤーの合成についても着手した。その方法として,従来のつる巻き状分子を連結させることで合成する方法に加え,前駆体のワイヤー状オリゴマーを先に合成し,後に閉環メタセシス反応により一挙に複数個のつる巻き構造を構築する方法につても,進行する可能性を見出すことに成功した。 環状構造を有する金属・有機構造体の創出に関しても,大環状構造の生成を示唆するような予備的な知見も得られていて,検討を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分子合成については着実に計画どおり進展している。分子ワイヤーについても合成と構造評価が計画どおりに進展している。スイッチングに関しても,先行して研究に着手した。環状構造体の創出については,21年度後半に計画どおり検討を開始している。総じて,研究は当初の計画どおり順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
22年度は,計画調書に記載した要領で,つる巻き状分子ワイヤーの合成と構造評価を遂行する。また,ワイヤー分子のスイッチング評価に関する研究に着手する。また,金属・有機構造体創製に関する研究では21年度に着手した研究を22年度には本格的にスタートさせる。また,その自己組織化や分子識別に関する研究についても22年度後半から開始することを予定している。また,新規な構造のつる巻き状分子として,ダブルつる巻き状ビフェニルに関しても,狙った分子構造どおりの物質が合成できていることが確実になってきたため,この研究についてもさらに推進していく予定である。 つる巻き状分子ワイヤーに関する研究においては,21年度に評価した二量体の立体構造に関する検討で得られた知見をもとに,三量体,四量体の立体化学評価の方法を確立して相対的な立体構造についても検討するとともに,異性化挙動を調査を着手する。末端構造規制と外部刺激による立体化学の変化の両面から,スイッチングの機能発現を検討し,有効な立体化学スイッチングの可能性を追求したいと考えている。 金属・有機構造体に関しては,ラセミ体のつる巻き状分子を用いる集合体形成を確立させた後に,エナンチオマーの分離方法に関して検討の後に,分離した一方のみのエナンチオマーを有機分子として金属化合物と錯体形成させることをめざす。
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Research Products
(13 results)