2023 Fiscal Year Annual Research Report
つる巻き状分子不斉を発現する環状および非環状集合体の機能創出
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21H01920
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森 敦紀 神戸大学, 先端膜工学研究センター, 教授 (90210111)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | つる巻き / 分子不斉 / つる巻き状分子ワイヤー / 金属・有機構造体 / キラリティ識別 |
Outline of Annual Research Achievements |
つる巻き状分子不斉化合物をクロスカップリング反応を利用することにより、直線状に結合させ、つる巻き状分子ワイヤーの合成をおこなった。つる巻き状ビチオフェンの二量体において適度な速度で異性化が進行することを利用して分子のキラリティスイッチングを検討した。その結果、メソ体とラセミ体の間に相互変化が、熱、結晶化等により誘起されることを明らかにした。これらの異性化に関しては、キラルカラムを用いる高速液体クロマトグラフィー分析、水素および炭素13核のNMR分析により評価可能であることがわかった。 さらに、つる巻き状ビチオフェンの三量体、四量体および重合によるオリゴマーの合成についても検討し、得られた生成物の一次構造解析についてNMR測定により生成を確認することに成功した。また質量分析においても、その構造確認を支持するような分析結果が得られている。 また、つる巻き状ビフェニルと金錯体を反応させることにより、三角形大環状金錯体を合成できることを明らかにした。さらに、つる巻き状ビフェニルの共有結合有機構造体の合成可能性についても検討した。つる巻き状分子の両末端にホウ素を有する誘導体へと変換し、つづいて金錯体と反応させたところ、つる巻き状分子の炭素原子と金原子のあいだに結合が形成し、続いて自己組織化により大環状構造が得られることがわかった。その構造体の生成を示唆するようなスペクトル解析の結果も得られた。 また、つる巻き状分子の両末端にピリジン構造を導入し二官能性の有機ハロゲン化物と反応させると、大環状構造をもつピリジニウム塩が得られ、そのNMRの解析の結果は構造体の生成を支持した。 これらの分子ワイヤーや構造体の機能発現についての分子設計について検討に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の当初計画に記載した、分子ワイヤーの構造評価がほぼ完了し、そのスイッチング評価に関する研究に着手している。金属有機構造体に関しては、金属化合物とつる巻き状分子を混合することによる構造体の生成が明らかになっている。当初は予期していなかった、教諭結合有機構造体についても、一連の研究からつる巻き状分を用いても形成できる可能性がみつかり、そのさらなる検討についても引き続き、遂行することを考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は研究計画の最終年度となるため、つる巻き状分子ワイヤーの合成と機能発現の結果をまとめた論文発表の準備に着手する。 大環状の金属有機構造体をつる巻き状分子を用いて合成する研究に関しては、当初計画の白金を用いる四角形錯体よりも、金を利用する三角形構造の方が効率よく大環状構造を形成しやすいことがわかったため、金錯体を用いる錯体形成、構造評価、分子識別について検討を継続し、成果をまとめる予定である。
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Research Products
(10 results)