2021 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素化ベンゾシクロブテノン誘導体を用いる含フッ素多環性化合物群の合成
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21H01927
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
網井 秀樹 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (00284084)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉石 露佳 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (30636220)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | フッ素 / 有機合成化学 / ベンゾシクロブテノン / 環化付加 / 開環反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の全体構想は、有機フッ素化合物の系統的合成法の開発である。交付希望期間中の具体的目的は、フッ素化ベンゾシクロブテノン誘導体を用いて、含フッ素多環性化合物群の新合成法を確立することである。本研究によって得られる成果は、有機半導体等の機能性材料の開発、医薬・農薬などの生理活性物質の探索に貢献するものと考えられる。有機化合物へのフッ素官能基の導入法として、含フッ素合成ブロックを用いる手法がある。特に、フッ素化ベンゾシクロブテノン誘導体を使うメリットとして、有機分子に対してフッ素官能基のみならず、カルボニル基(C1ユニット、および酸素官能基を供与)を導入しながら、多彩な環構築反応に展開できる。 2021年度は、含フッ素ベンゾシクロブテノンの合成を行なった。o-ブロモジフルオロフェニル酢酸エチルのハロゲン/リチウム交換、それに続く分子内求核置換反応を用い、対応する含フッ素ベンゾシクロブテノンとその誘導体については調製ができた。含フッ素ベンゾシクロブテノンをビニルケテン等価体として用いるジエノフィルとの分子間[4+2]環化付加反応を試みたが、目的の環化付加反応は進行していない。私たちの予想に反し、含フッ素ベンゾシクロブテノンは非常に安定な化合物であったので、[2+2]開環によるビニルケテン生成が起こりにくかったと考えられる。 一方、ジフルオロベンゾシクロブテノンのカルボニル部位を還元したベンゾシクロブテノールを用いると、開環反応により発生したo-キノジメタンとジエノフィルとの分子間[4+2]反応が進行し、ジフルオロメチレン基を有する環状化合物が60%の単離収率で得られた。さらに、[4+2]環化付加体に対し塩基を作用させると脱水/脱フッ化水素反応が進行し、モノフルオロ高次共役化合物に変換できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
含フッ素ベンゾシクロブテノンの合成が確立でき、さらに含フッ素ベンゾシクロブテノール類の環化付加反応を実施できた。フルオロ基を有する環状化合物合成に展開できたため、本研究目的に沿って研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2001年度に蓄積した含フッ素ベンゾシクロブテノンの環化付加反応の生成物を用いて、多様な構造を有する化合物群の合成を実施する。
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Research Products
(14 results)