2021 Fiscal Year Annual Research Report
立体発散的合成を基盤とした複雑系巨大天然物の構造解明
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21H01938
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高村 浩由 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (70422798)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 有機合成化学 / 発散的合成 / 天然物 / 構造解明 / 立体化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物活性天然物は、官能基や分子形状を介して生体内標的分子と特異的に相互作用することで生物活性を発現する。したがって、多官能基化された複雑系巨大天然物は強力な生物活性を持ちうる。これら生物活性天然物の構造決定は、創薬科学や化学生物学へと直結する天然物化学の中でも重要な研究課題である。本研究では、複雑系巨大天然物であるシンビオジノライドおよびブレビスルセナール-Fを研究対象とし、立体発散的合成を基盤とすることで、不明である立体構造を解明する。令和3年度の研究実績概要を以下に記載する。 2,860の分子量と61個の不斉中心を持つポリオール天然物シンビオジノライドのC61-C83フラグメントの合成を検討した。これまでの研究において、C61-C74およびC69-C83フラグメントの候補化合物を立体発散的に合成し、各々の相対立体構造を決定した。本年度は、前述の結果により導出されたC61-C83フラグメントの推定立体構造の合成を行った。アルデヒドとヨードアルケンとのカップリング、アルデヒドとアルキンとのカップリングを用いることで、本フラグメントの炭素骨格を構築した。今後は隣接ジオール部位を立体選択的に導入することで標的化合物の合成を完了し、本フラグメントの立体構造を解明する。 上記内容と並行して、2,054の分子量を有するポリエーテル天然物ブレビスルセナール-FのRSフラグメントの合成を検討した。立体選択的アリル化およびアルケンの異性化を鍵反応として用いることで、R環部を合成した。また、不斉エポキシ化を用いることでS環部を立体選択的に合成した。今後はR環部とS環部とのカップリングを行うことで、当該フラグメントの4個の考え得るジアステレオマーを立体発散的に合成する。合成完了後、これら4個の合成品と天然物とのNMRデータの比較を行うことで、本フラグメントの立体構造を決定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
立体発散的合成を基盤とすることで、シンビオジノライドC61-C83フラグメントの相対立体構造を推定した。本推定立体構造の合成を進め、炭素骨格を構築した。また、ブレビスルセナール-Fの合成研究に着手し、R環部およびS環部の合成をそれぞれ完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も複雑系巨大天然物を研究対象とし、合成化学的アプローチによる構造決定を検討する。 これまでの研究により、シンビオジノライドの分子全体の7割に相当する各部位の合成と構造決定を完了している。本研究では、残り3割に相当する立体構造未解明部位の合成と構造決定を行う。まずは、C61-C83フラグメントの合成を引き続き検討する。 ブレビスルセナール-Fの環状部位、すなわちA-Q環部、R環部、S-W環部、およびX環部のそれぞれの相対立体配置はNMR解析により決定された。しかしながら、これらの相対関係および鎖状部位の立体化学は不明である。そこで本研究では、立体化学未決定部位の合成と構造解明を行う。まずは、合成を完了したR環部とS環部との連結を行い、RSフラグメントを合成する。
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Research Products
(4 results)