2023 Fiscal Year Annual Research Report
立体選択的な第四級不斉炭素構築法の開発とそれに基づく生物活性物質の合成
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21H01943
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高尾 賢一 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (70287481)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 第四級不斉炭素 / 多環性骨格 / 天然物合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、有機合成化学において最もチャレンジングな課題のひとつである「立体選択的な第四級不斉炭素の構築」を達成するために合成反応を開発し、それに基づく「多様な3次元構造を有する生物活性物質の合成」のための合成戦略を様々なアプローチで編み出すことを目的としている。この目的を達成するために、それぞれタイプの異なる4つの天然物を標的分子に設定し、それらが有する第四級不斉炭素の構築を、既知の方法に頼らず、独自の方法で開発することを目指して研究を行った。 令和5年度においては、以下のような研究実績が得られた。ハイフェンロン類の合成においては、架橋二環性骨格構築のための分子内アルドール反応が、期待に反して1,2-アルキルシフトを起こしていることを突き止めた。これにより、代替の合成経路を検討することとなった。ビールショウスキーシンの合成では、14員環化合物の脱芳香族化を試みたところ、DDQを用いた酸化的条件が有効であることを見出した。ブロモフィコリドの合成では、ブロモニウムイオン-π環化反応により合成したシクロヘキセン化合物に化学修飾を施し、ブロモフィコリドのみならずカロフィコ酸Aにも適用可能な共通中間体を構築することができた。また、ステルヒルスチンの合成において、11員環化合物を合成し、連続的渡環ラジカル環化反応を利用することにより、第四級不斉炭素を有する直線状トリキナン骨格を構築することに成功した。以上のように、4つのテーマにおいてそれぞれ進展が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標的分子に設定した4つの天然物それぞれが有する第四級不斉炭素の構築を目指した結果、3つのテーマにおいて想定していた反応が進行し、立体選択的な方法を開発することができた。さらに変換反応を重ね、多環性骨格の構築を達成しているテーマもある。よって、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに、それぞれの標的分子に向けてさらなる骨格形成や官能基変換などを施すことにより、独自性の高い合成法の開発を目指し研究を継続していく。
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