2021 Fiscal Year Annual Research Report
細胞伸展デバイスの開発と高効率な血液細胞分化誘導法への応用
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21H01970
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
佐藤 香枝 日本女子大学, 理学部, 教授 (40373310)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | マイクロデバイス / OP9細胞 / 血液細胞分化 / 力学的刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、OP9細胞に伸展刺激を与えることで、培養上清中へ血液細胞分化誘導因子の分泌が増加するという仮説を立て、①OP9細胞の静置培養と伸展培養における分泌性血液細胞分化誘導因子の遺伝子転写産物の存在量比較、②培養上清中に分泌した分化誘導因子の定量を行った。
細胞培養チャンバーを持つ上部シートと、伸展刺激を与える際に空気を引く制御チャンバーを持つ下部シートの間に、細胞培養面となる薄膜を挟んだ伸展デバイスをポリジメチルシロキサン(PDMS)で作製した。伸展デバイス内で、72時間静置培養、続けて24時間静置または伸展培養したOP9細胞を用意した。細胞を溶解してRT-PCRを行うことで、分泌性血液細胞分化誘導因子であるSCF(幹細胞因子)、TGF-β1(トランスフォーミング増殖因子β1)、BMP2(骨形成タンパク質2)、BMP4(骨形成タンパク質4)、CXCL12(C-X-Cモチーフケモカインリガンド12)、EDN2(エンドセリン2)という6つの遺伝子転写産物の存在量を比較した。さらに、同様の条件でOP9細胞を静置または伸展培養し、培養上清を分取後、ELISA法を用いてSCFとTGF-β1の定量を行った。
分泌性血液細胞分化誘導因子の遺伝子転写産物の存在量を比較した結果、SCF、TGF-β1、BMP4については、静置培養と伸展培養で差は見られなかった。CXCL12は伸展培養で発現が多く見られたため、伸展刺激によって分泌が増加し、血液細胞産生を促進している可能性が示唆された。培養上清中の物質を定量した結果、SCF、TGF-β1ともに静置培養、伸展培養で分泌量に有意な差は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1-2年目から着手したかった細胞内外シグナル伝達物質の定量を行うことができたため、概ね計画通りに進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度から始めた細胞内外シグナル伝達物質の定量を引き続き行う。リアルタイムPCRによる定量を試みる。
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