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2023 Fiscal Year Annual Research Report

Development of thin film materials with long-term low water contact angles

Research Project

Project/Area Number 21H02030
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionKansai University

Principal Investigator

幸塚 広光  関西大学, 化学生命工学部, 教授 (80178219)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
Keywords濡れ / 親水性 / コーティング膜 / 安定性 / ゾル-ゲル法
Outline of Annual Research Achievements

ソーダ石灰ガラスや石英ガラスの接触角が静置過程で増加する原因を解明すべく、XPSによる表面分析元素濃度の静置時間依存性を調べた。その結果、いずれのガラスにおいてもC-C結合をもつ炭素が静置時間とともに増加し、接触角が静置過程で増加する原因が、雰囲気中の炭化水素の付着にあることを実証できた。
Li2O-SiO2薄膜やNa2O-SiO2薄膜においてもC-C結合をもつ炭素が静置時間とともに増加した。一方、これらのアルカリケイ酸塩薄膜においては、静置時間とともに非晶質のアルカリ炭酸塩が生成した。このことから、これらのアルカリケイ酸塩薄膜が低い接触角を長時間維持するのは、アルカリ炭酸塩の表面に付着した炭化水素が、接触角測定における水滴滴下時に洗い流されるためではないかと推察した。
CaO-SiO2薄膜を水に浸漬して得られるシリカ膜が10°以下の低い接触角を長時間維持することの再現性を検討すべく、浸漬時の水の量や攪拌の有無も変化させながら慎重に実験を実施したが、条件を同一にしても接触角の静置時間依存性にはバラツキがあり、再現性を獲得できておらず、低い接触角を長時間維持するための条件も明らかでない。この問題があったため、CaO-SiO2薄膜におけるCaO量と熱処理温度が、水の浸漬により得られる多孔質シリカ膜の微細構造に及ぼす影響、それらが接触角の時間依存性に及ぼす影響について、検討するに至らなかった。
一方、ブロック共重合体の共存下でアルコキシドを加水分解してメソポーラスシリカ膜を作製したところ、膜をメソポーラスにすることによって、静置過程での接触角の増加率が減少することがわかった。具体的には、静置10日間で、市販のソーダ石灰ガラスの接触が約10°から約44°まで上昇するのに対し、メソポーラス膜では約5°から約15~25°に上昇するのにとどまった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

ソーダ石灰ガラスや石英ガラスの接触角が静置過程で増加する原因が、雰囲気中の炭化水素の付着にあることを実証できた。
また、Li2O-SiO2薄膜やNa2O-SiO2薄膜が低い接触角を長時間維持するのは、静置過程で析出する非晶質アルカリ炭酸塩の表面に付着した炭化水素が、接触角測定における水滴滴下時に洗い流されるためではないかとの可能性を提示できた。
さらに、ブロック共重合体の共存下でアルコキシドを加水分解して構築されるメソポーラス構造が、静置過程での接触角の増加率を減少させる効果があることを明らかにできた。
一方、CaO-SiO2薄膜を水に浸漬して得られるシリカ膜が10°以下の低い接触角を長時間維持するとの前年度の結果の再現性が獲得できておらず、低い接触角を長時間維持するための条件も明らかにできていない。そのため、CaO-SiO2薄膜におけるCaO量と熱処理温度が、水の浸漬により得られる多孔質シリカ膜の微細構造に及ぼす影響、それらが接触角の時間依存性に及ぼす影響について、検討するに至らなかった。

Strategy for Future Research Activity

CaO-SiO2薄膜を水に浸漬して得られるシリカ膜について、低接触角の長時間安定性の再現性を獲得する。そのため、浸漬時の水の量と攪拌の有無にとどまらず、湿度、ゲル膜を焼成するまでの時間、ゲル膜の昇温速度にまで制御パラメータを広げ、条件の制御に努める。
現状でのメソポーラス膜のメソ孔の方向はランダムであるが、メソ孔の向きが、静置過程での接触角の変化に及ぼす影響を明らかにする。そのため、メソ孔が膜の面に垂直に立つようメソポーラスシリカ膜の微細構造を制御し、静置過程での接触角の時間変化を調べる。また、メソポーラス構造が低接触角の安定性に与える影響を明らかにすべく、シリカ以外のメソポーラス膜についても、静置過程での接触角の増加の抑制効果が見られるかどうかを調べる。
これまでアルカリケイ酸塩膜、アルカリ土類ケイ酸塩膜は、金属硝酸塩をアルカリ金属・アルカリ土類金属源として作製してきた。しかし、金属アルコキシドをアルカリ金属・アルカリ土類金属源とすることにより、薄膜の微細構造・組成分布は大きく変化する可能性がある。そこで、金属アルコキシドをアルカリ金属・アルカリ土類金属源としてケイ酸塩薄膜を作製し、それらの薄膜、ならびに水に浸漬した薄膜の接触角の時間変化が、使用原料の変更によりどのような影響を受けるかを明らかにする。

  • Research Products

    (4 results)

All 2024 2023

All Presentation (4 results)

  • [Presentation] ゾル-ゲル法により作製されるメソポーラスシリカ薄膜の濡れ性の時間変化2024

    • Author(s)
      幸塚広光, 三木愛斗
    • Organizer
      日本セラミックス協会2024年年会, 熊本市(熊本大学黒髪キャンパス), 2024年3月14~16日
  • [Presentation] 水の低接触角を維持するコーティング材の探索2023

    • Author(s)
      幸塚広光, 宮尾悠太, 田村直暉, 白山哲, 加藤知顕
    • Organizer
      第64回ガラスおよびフォトニクス材料討論会, 松山市(松山市教育研修センター), 2023年11月27, 28日
  • [Presentation] ゾル-ゲル法により作製されるナトリウムシリケート薄膜の濡れの安定性と耐水性2023

    • Author(s)
      田村直暉, 宮尾悠太, 幸塚広光
    • Organizer
      日本セラミックス協会第36回秋季シンポジウム, 京都市(京都工芸繊維大学松ケ崎キャンパス), 2023年9月6~8日
  • [Presentation] ゾル-ゲル法により作製されるナトリウムケイ酸塩薄膜の水との接触角の時間依存性と耐水性2023

    • Author(s)
      田村直暉, 宮尾悠太, 幸塚広光
    • Organizer
      日本ゾル-ゲル学会第21回討論会, 豊橋市(穂の国とよはし芸術劇場PLAT), 2023年7月13, 14日

URL: 

Published: 2024-12-25  

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