2021 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding and controls of reaction intermediates in electrochemical carbon dioxide reduction and development of gaseous flow type electrolytic synthesis cell
Project/Area Number |
21H02037
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
伊藤 良一 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (90700170)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻口 拓也 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (10510894)
高橋 康史 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 特任教授 (90624841)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 電気化学的二酸化炭素還元 / カーボンニュートラル / 走行型電気化学顕微鏡 / 気体フロー電解セル / グラフェン / 合金 / ギ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
カーボンニュートラル実現に向けて、再生可能エネルギー由来の電力を用いて電気化学的に二酸化炭素を還元し、メタン、メタノール、ギ酸などの有用な化成品を合成する化学的固定化技術の開発が急務となっている。初年度はまず、二酸化炭素を原料とし、目的生成物の合成速度を高めつつ、生成物の選択性(ファラデー効率)を向上させられる電解合成用電極触媒の開発を行った。これまでの電気化学的二酸化炭素還元の研究は、二酸化炭素分子が電極表面に吸着した後の分子結合の組み換えを、触媒表面構造、pH、過電圧、電解液などを通じて精密に制御することに注力されていたが、本研究は電解合成と共に刻々と消費されていく原料である二酸化炭素分子の供給能力に着目し、二酸化炭素吸収材を電極表面に塗布することを考案した。様々な最適化の結果、ギ酸電解合成において、適切な厚みを持つ二酸化炭素吸収材を電極表面に塗布したスズ電極は、二酸化炭素吸収材を電極表面に塗布していないスズ電極と比べて、99%以上の選択性を維持したまま、合成速度の24倍高速化させることに成功した。また、第一原理計算による反応シミュレーションを行ったところ、触媒表面近傍の二酸化炭素の濃度が高い状態(多くの二酸化炭素分子が存在している状態)だと、ギ酸への中間体であるCOOH中間体への活性化エネルギーが下がり、電気化学反応を促進させることが可能であると明らかとなった。以上から、電解合成時の電極近傍の二酸化炭素の重要性と触媒設計指針を明確にすることに成功した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二酸化炭素を電極触媒表面へ高濃度に集めるためのポリマー塗布した電極の開発に成功しており、論文発表、プレスリリース発表とそれに付随した新聞報道もされたことから、研究は計画通り進行している。さらに、炭素鎖が2個のC2生成物合成についても検討を開始しており、二酸化炭素を原料とした様々な化成品に対して適応可能な汎用性の高い触媒反応メカニズムの解明に繋がりつつあり、順調といえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の成果により、二酸化炭素吸収材を電極表面に塗布すると、二酸化炭素分子の捕集と電極表面への輸送が加速され、ギ酸の電解合成に十分な二酸化炭素分子を供給し、その合成速度を増大させることが、実験的および計算化学的に明らかになった。次年度以降は、さらなる触媒反応の効率化、触媒反応メカニズムの詳細な解明を行った後、本研究で開発した触媒を気体フロー型電解合成セルへの適応を目指す。また、本研究のコンセプトを炭素鎖が2個のC2生成物へ拡大し、電気化学的二酸化炭素還元によるエタノール電解合成などへ展開したい。
|
Remarks |
「CO2から化学原料 合成素早く」、日経産業新聞、2021年8月18日 10ページ 伊藤良一「高効率にCO2還元 新しい触媒開発 金沢大など グラフェンとスズの界面活用」科学新聞 6ページ, 2021年4月2日
|
Research Products
(19 results)