2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21H02047
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松本 一彦 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (30574016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄 珍光 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (20900004)
萩原 理加 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (30237911)
窪田 啓吾 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (40586559)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | イオン液体 / 溶融塩 / ナトリウム電池 / 硫黄 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は正極の種類によらず共通の課題である液体ナトリウム金属負極と固体電解質の界面について、対称セルを用いた電気化学的な挙動の把握を定電流分極と電気化学インピーダンスを用いて進めた。この実験を含めて、電気化学測定には加圧しながら測定が可能なセルを構築して用いた。得られた結果から150℃において、細かい電圧の変動は見られるものの、液体ナトリウム金属負極は400サイクルを超えて長期的に安定な析出溶解挙動を示すことが分かった。このことから、負極については長期サイクル試験に十分耐えうる電気化学挙動を有することが分かった。正極側では、硫黄正極を安定に作動させる電解質として、トリフレートアニオンを含むビス(トリフルオロメチルスルフォニル)アミド無機溶融塩が適切であることを見出した。この電解質自体はナトリウム析出溶解を基準として、白金電極で5 Vを超える電気化学窓を持ち、アルミ電極では不働態化が進むため、さらに高電位まで安定であることが分かった。この電気化学窓は硫黄のレドックスには充分な酸化還元耐性である。融点とナトリウムイオンの濃度を考慮して、ナトリウム塩が20%の濃度でナトリウム硫黄電池を作製し、充放電試験を行った。放電曲線において多硫化物イオンの生成に起因するプラトーが複数確認され、低レートではあるものの1000サイクルに渡り安定な充放電が可能であることが分かった。また高レートでの放電では低電位側のプラトーが消失するため、容量が低下するため、この部分の利用が課題の一つである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正極材料によらず必要な液体ナトリウム金属負極について電気化学的な理解が進んでいるため。また、硫黄正極についても作動に適切な電解液と作動条件が見つかっておりおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、ナトリウム負極の充放電挙動とβ”-アルミナ固体電解質との界面について知見が得られている。これは正極材料によらず共通の知見であるが、硫黄正極を用いた場合には、トリフレートアニオンを含むビス(トリフルオロメチルスルフォニル)アミド系アルカリ金属混合無機溶融塩が、トリフレートアニオンを含まない溶融塩と比較して、優れた性能を示すことが分かっている。当該溶融塩電解質について、さらなる知見を得るためナトリウムと組み合わせるカチオン、混合組成、アニオンの影響などを調べる。また、正極材料については、硫黄だけでなく酸素、酸化物、フッ化物など室温では活性が低く用いにくいものについても検討を進める。これまでの検討でフッ化物は正極としてほとんど容量が得られないことが分かっているが、電極構造や溶融塩の改良によりその性能を引き出すことに挑戦する。分析方法としては熱分析、電気化学測定、分光測定により、材料の特性や充放電メカニズムを解明する。
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