2022 Fiscal Year Annual Research Report
アポプラスト障壁形成の環境応答機構と栄養循環における機能の理解
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21H02087
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神谷 岳洋 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40579439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山上 睦 公益財団法人環境科学技術研究所, 環境影響研究部, 副主任研究員 (60715499)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | カスパリー線 / アポプラスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はOsSGN3とCsMYB36について解析を進めた。 OsSGN3については、CRISPRのホモ株が致死であることから、ヘテロ系統を維持し、実生段階でホモを選抜したのち、実験に用いた。破壊株を用いた実験により、1)破壊株は地上部の元素濃度に異常があること、2)外皮および内皮のアポプラスト障壁が壊れていること、3)内皮のカスパリー線の形態に異常があることを見出した。以上の結果より、OsSGN3はイネにおいて、内皮だけではなく外皮のアポプラスト障壁の形成に関与していることを明らかにした。 CsMYB36については、地上部、特に果実で発現してることから、果実に着目して解析を進めた。その結果、分泌トライコムのneck cellと呼ばれる細胞にリグニン様の構造があること、この構造はCsMYB36破壊株では観察されないこと、neck cellでは、カスパリー線形成の鍵となる遺伝子であるCsCASP1タンパク質が発現していること、また、その局在はneck cellの側面の細胞膜であること、リグニン様構造がアポプラスト障壁として機能することを見出した。以上の結果より、この構造をneck stripと命名した。CsMYB36破壊株ではブルームが形成されないことが報告されている。これらの結果より、neck stripがアポプラスト障壁として機能することにより、分泌トライコムでのケイ酸濃度が高くなり、シリカ重合が進むものと考えられる。なお、このneck stripが他の植物種にも存在することを明らかにし、植物に普遍的な構造であることを示した。 以上の結果に加え、前年度にデータが揃った低カリウムとカスパリー線形成に関しては論文を執筆し、投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
neck stripという新たな細胞壁構造を見出し、新たな研究の展開があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
地上部のアポプラスト障壁、特に、neck stripについて研究を展開していく。
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Research Products
(5 results)